米IBMは米国時間2011年7月8日、高性能コンピューティング(HPC)プラットフォームを手がけるスイスCloudBrokerおよびスイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)とクラウドコンピューティング技術に関する提携を結び、抗生物質開発に共同で取り組んでいることを明らかにした。

 世界保健機関(WHO)によると、治療薬が効かない抗菌薬耐性病原体は劇的に増加しており、結核やマラリアなど細菌を病原とする疾病の治療に脅威を与えている。こうした抗菌薬耐性病原体に効果的な治療の開発において、細菌タンパク質の研究はますます重要性が増している。

 IBM、ETH Zurich、CloudBrokerの協業では、IBMの企業向けクラウドサービス「SmartCloud Enterprise」とCloudBrokerのデータ管理製品を組み合わせる。ETH Zurichの分子生物学専門家チームはすでにこのクラウド環境を用いて、バクテリアやウイルス、菌などが分泌する250近い潜在的毒性要素(分子)を特定し、毒性や抗菌薬耐性を研究するための約230万の3D(三次元)モデルを作成した。

 オープンソースのタンパク質構造予測ソフトウエア「Rosetta」を使って、タンパク質構造、タンパク質の折りたたみ現象、タンパク質間相互作用などを予測する大規模データ分析では、従来であれば数カ月かかるところ2週間以内に実行できたとしている。

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