組み込み向けソフトウエア大手のウインドリバーは7月8日、伊Magneti Marelli Motorsportが供給しているF1レーシングカー用テレメトリ(遠隔測定)装置の新バージョンに、同社の組み込み向けリアルタイムOS「VxWorks」が採用されたことを発表した。

 テレメトリシステムは、F1マシンの車体全体に搭載されたセンサーから得られるデータを収集、モーターホームやピットなどのコンピュータでリアルタイムにデータを解析し、走行中のマシン状態の把握やドライバーへの指示、レースの戦略の変更などを行うためのシステム。現代のF1レースでは欠かせないシステムとなっている。

 センサーから得られるデータは、車速やアクセル開度、エンジン回転数や燃料消費量などのほか、2011年シーズンの場合はKERS(運動エネルギー回収システム)が搭載する高速電動発電機からのデータなども含まれている。これらをVxWorksを使ってリアルタイムに処理し、暗号化などを施しつつ、車載ネットワーク規格であるFlexrayやイーサネット、CAN、ARCNETなどを通じてチームに送信する。

 ウインドリバーによれば、VxWorksを搭載したことなどにより、Magneti Marelli製テレメトリ装置のサポートチャネル数が前バージョンの数百チャネルから数千チャネルへ拡大したほか、システムの起動時間も大幅に高速化できたという。同社では、起動時間を従来の数秒から100分の数秒レベルにまで短縮できたとしている。