写真●米シトリックス・システムズのマーク・テンプルトン最高経営責任者(CEO)
写真●米シトリックス・システムズのマーク・テンプルトン最高経営責任者(CEO)
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 米シトリックス・システムズのマーク・テンプルトン最高経営責任者(CEO)は2011年7月7日、都内で記者会見を行い、「パーソナル、プライベート、パブリックの三つのクラウドに注力する」との戦略を示した。日本法人の業績は好調で、2011年上期の売上高は前年同期比25%増加しているという。

 テンプルトン氏の言う「パーソナルクラウド」とは、「個人がクラウドやスマートフォンなどのデバイスを使って、情報を共有しながらいつでもどこでも働くということ」。同氏が特に注目しているのは、従業員が個人所有するスマートフォンやタブレット端末などを使用して業務を行う「BYOD(Bring Your Own Device、個人所有のデバイスを持ち歩く)」という潮流だ。

 「現在は、消費者が家庭で体験するITの使い勝手の方が、企業内でのIT体験よりも良くなっている」(同氏)。その主役が、コンシューマ領域で普及しているスマートフォンやタブレット端末だ。同氏は、デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化のクライアントソフトである「Citrix Reciever」が対応するスマートフォンが149機種、タブレット端末が37機種と増えていることを指して、同社のパーソナルクラウド対応は十分だと述べた。

 プライベートクラウドとパブリッククラウドに関しては、両者の連携を強化するとの方針を明らかにした。同社は5月、プライベートクラウドとパブリッククラウドを接続するためのソフトウエア「NetScaler Cloud Bridge」を発表している。これは、通信暗号化機能やWAN高速化機能などを統合したソフトである。

 また同社は5月に、オープンソースソフトウエア(OSS)のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)構築ソフト「OpenStack」の商用ディストリビューション(検証済みパッケージ)である「Project Olympus」を発表している。同氏は、「OpenStackは、巨大なクラウドインフラを構築できるソフトだ。OpenStackの管理用API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)はAmazon Web Services(AWS)との互換性も高い」と述べ、OpenStackをIaaS事業者や、AWS互換のプライベートクラウドを構築したい企業に売り込む考えを示した。