写真1●「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント(CLM)」の画面例
写真1●「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント(CLM)」の画面例
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写真2●「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント(CDM)」の画面例
写真2●「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント(CDM)」の画面例
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 日本IBMは2011年7月6日、開発ソフト群「Rational」シリーズの新製品を発表。同日より出荷開始した。

 今回の新製品は、二つのグループからなる。一つが「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント(CLM)」。開発のライフサイクル全体における成果物や進ちょく情報を共有できるようにする製品グループである。もう一つが「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント(CDM)」。こちらはソフトウエアの設計情報を共有するための製品グループである。

 CLMを構成する製品は三つ。(1)要求管理ソフトの「Rational Requirements Composer」、(2)作業管理や構成管理のための「Rational Team Concert」、(3)テスト管理や品質管理用の「Rational Quality Manager」である。それぞれ既に販売している旧製品のバージョンアップ版となる。

 今回CLMという製品グループとしてまとめるにあたり、製品同士の連携機能を追加した。これにより、要求定義、設計、開発、テストといった異なるフェーズの管理情報に対して、一つの画面からアクセスできるようになった(写真1)。画面上に表示されている情報をクリックしていくことで、要求の中身、要求の決定者、タスクや開発の進ちょく状況、開発担当者、テストケースの中身、テストの結果、テスト担当者といった、開発作業を進める上で必要な前後フェーズの情報や関係者の情報にすぐにたどり着くことができるという。

 しばしば開発プロジェクトでは手戻りやスケジュールの遅延、予算オーバーが散見される。大きな要因の一つは、工程間の情報の不行き届きや、担当者同士のコミュニケーション不足。日本IBMの渡辺公成ラショナル事業部長は「CLMを導入すればこのようなカベがなくなり、開発生産性が一気に高まる」とアピールする。

 もう一方のCDMを構成する製品は二つ。(1)組み込み開発向けの設計管理ツールである「Rational Rhapsody Design Manager」と、(2)一般的なソフトウエア開発向けの設計管理ツール「Rational Software Architect Design Manager」だ。これらは国内初出荷の新製品となる。

 両製品ともに、メンバー間で設計情報を共有する機能が最大の特徴(写真2)。例えば、設計リーダーと設計担当者同士でモデル図を共有して図や文章でコメントできる。また、設計変更を加えた際の影響分析機能などを備える。「最近はオフショア開発の進展により、遠隔地同士で作業を進めることが増えてきた。これらの機能を使えば、遠隔地にいる担当者とも設計情報のすり合わせがスムーズに進められるので、ソフトウエアの品質向上が期待できる」(渡辺事業部長)。

 CDMはCLM製品との協調動作も可能。CDMの設計情報と、CLM側で管理する要求や開発、テストなど前後のフェーズの情報をひもづけることで、プロジェクト全体の品質や生産性の向上が狙える。

 価格は下記の通り。いずれも1ユーザー当たりの価格で税別。製品の一部機能だけを利用するライセンス体系も別途用意するという。

■CLM

  • Rational Requirements Composer V3.0.1 61万9200円
  • Rational Team Concert V3.0.1 62万2100円
  • Rational Quality Manager V3.0.1 75万7900円

■CDM

  • Rational Rhapsody Design Manager V3.0 25万7400円
  • Rational Software Architect Design Manager V3.0 25万7400円