電子マネー「nanaco」の拡大を目指し、セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社で電子マネー事業を展開しているセブン・カードサービスは2011年12月にも新決済システムを投入する。最大の特徴は、「nanacoのカードやおサイフケータイをかざすリーダー/ライターをシンクライアント型に変更することで、リーダー/ライター導入の大幅なコストの低減を図ること」という。

 これまで店舗などでカードをかざしてもらうリーダー/ライターは、その内部で電子マネー情報の暗号処理を行っていたため、リーダー/ライターの持つ機能が重厚になりコストが高いという問題があった。今回は、リーダー/ライターは情報を読み取るだけで、暗号処理はオンラインでセンターサーバーが行う「シンクライアント型」の構成にする。そのためリーダー/ライターの構造をより簡素化でき、コスト低減が図れる。加えて、リーダー/ライターはNFCに準拠していることから、nanaco専用ではなく汎用的なリーダー/ライターへ移行できることもコスト低減につながる。

安価なリーダー/ライターでネット決済取り込む

 リーダー/ライターをシンクライアント型にした背景にはnanacoの拡大戦略があるという。リーダー/ライターを安価にして購入やレンタルしやすくし、飲食店などnanacoが使える店舗をより増やすことを狙う。この他にも、商店街一体をnanaco利用可能エリアにすることも可能になる。

 セブン・カードサービスは、実店舗におけるnanaco商圏の拡大に加えて、インターネット上の決済も取り込む狙いがある。例えば安価なNFC準拠のリーダー/ライターモジュールを業務用PDA組み込めば、インターネットで購入した商品を宅配業者が持つ業務PDAにnanacoカードをかざすことで支払いが完了できる。またAndroid端末に組み込む場合は、「セブンネットショッピング」といったサイトで購入した商品を支払うときに、nanacoカードを端末にかざせば同じく支払いができる可能性がある。

新決済システムはクラウド活用

 新決済システムは、トッパン・フォームズと日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が提供する非接触ICカードの決済クラウドシステムを利用する(関連記事)。このシステムはNFC準拠のICカードを使った認証や決済が可能なため、例えばEdyやiDなどnanaco以外の電子マネー決済を利用したり、システムと接続する1台のリーダー/ライターで複数の電子マネーの決済が可能となる。

 セブン・カードサービスは現在のところ、この新決済システムとすでにセブンイレブンの店舗などに導入済みであるリーダー/ライターが接続しているnanaco専用の決済システムを併用する形になる。