写真●パワーテクノロジー取締役ファウンダーの中島正三氏
写真●パワーテクノロジー取締役ファウンダーの中島正三氏
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 SEO(検索エンジン最適化)事業を展開するパワーテクノロジーが、韓国の新興企業向け市場KOSDAQへ上場する見通しだ。2011年6月27日、韓国取引所(KRX)は同社の新規上場予備審査を承認したと発表した。8月中旬もIPO(新規株式公開)が完了する予定だという。

 同社は現在セプテーニ・ホールディングスの持分法適用会社であり、国内市場では株式公開をしていない。また、韓国へ事業進出した実績もない。新規上場先の市場として、国内ではなく韓国を選択した理由について、同社 取締役ファウンダーの中島正三氏(写真)は、「ライブドアショック以降、国内の新興市場は出来高も時価総額も低迷しており、IPOをしても資金調達が難しい。実質的に資金調達先として機能する市場として、KOSDAQを選んだ」と説明する。「韓国市場にはベンチャーを育成できる環境がある。日本と文化が近いのも魅力」(中島氏)。

 一方で、韓国市場で上場することのリスクもある。中島氏は、「為替リスクもある。また、KOSDAQの上場企業は、当期純利益の継続成長が求められる。韓国と比べて法人税の高い日本企業にとって、純利益ベースでの評価は不利になる」と話す。それでも、「今後、日本のITベンチャーの海外の市場へのIPOは増えていくだろう。当社はその先陣。後に続く企業のためにも失敗するわけにはいかない」(中島氏)と意気込む。

 ただし、事業面の韓国進出については慎重だ。韓国のインターネット検索市場は、国内や欧米と状況が異なり、韓国NHNの「NAVER(ネイバー)」が高シェアを占めている。そのため、同社のSEO事業を水平展開することができない。「ゆくゆくは韓国への事業展開を考えているが、まずは、韓国の検索市場を調査することから始める」(中島氏)。

 当初、同社の新規上場予備審査は3月下旬に実施される予定だったが、KRXは3月24日に、同社の審査を一旦保留とする決定をしていた。3月11日に発生した東日本大震災の影響と考えられる。KOSDAQへの日本企業の上場は、2009年4月のネプロアイティに次いで同社が2社目となる。