宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2011年6月22日、準天頂衛星システムの技術実証用初号機「みちびき」が送信している測位信号(L1-C/A、L2C)のアラートフラグを解除したことを発表した。これは対応するGPS(全地球測位システム)受信機で同信号を使った測位が可能になったことを意味する。JAXAでは、残りの測位信号(L5、L1C)についても技術検証が済み次第、順次アラートフラグを解除するとしている。

 測位信号のアラートフラグとは、測位信号の利用ができない状態(アラート状態)を示すフラグのこと。これが付いた状態の信号は一般の受信機が受信しても、データを測位計算に利用できない。アラートフラグを解除したことで、今後は同システムに対応した市販のGPS受信機でみちびきの測位信号を測位に利用できるようになる。

 準天頂衛星システムとは、複数の衛星を打ち上げて異なる軌道面に配置することで、常に天頂付近に1基の衛星が見えるようにする衛星システム。米国のGPSを使った測位を補完する役割を果たす。GPSユーザーにとって、ビルなどの障害物に遮られがちだった場所にいても、上空が開けていれば最低でも1基の衛星からの信号を受信できるようになるため、測位がしやすくなるなどのメリットがある。みちびき1基だけではなく2013年までに合計3基を打ち上げてシステムを構成する計画になっている。

 現在市販されている一般的なGPS受信機の多くは、みちびきからの信号を使った測位ができない。だが、JAXAによればソニーやデンソー、セイコーエプソンなど12社が対応製品の販売もしくは製品化準備を行っているという。これら先行メーカーの製品で有用性が確認されれば、他のGPS機器への普及も一気に進みそうだ。