米マイクロソフトは2011年6月20日(米国時間)、同社のオンラインストレージサービス「SkyDrive」をリニューアルした。SkyDriveは、「Windows Live」サービスの1つとして提供している25GBまで無料のオンラインストレージ。Windows LiveのIDを取得すれば、誰でも利用できる。
第一の強化ポイントは、表示速度の向上。これまでは6~9秒かかっていた基本操作を、0.1~0.3秒にまで短縮したという。実際、フォルダーを開いたり、フォトアルバムを表示させたりしてみると、従来よりも高速に表示されることが体感できる。
さらにWebブラウザーがInternet Explorer(IE)9であれば、IE9が備えるグラフィックスチップ(GPU)を使った描画機能により、写真の表示などが速くなる。この恩恵は、GPUによる描画に対応する他のWebブラウザーでも受けられるという。
第二のポイントは、使い勝手の向上だ。まず画面全体のデザインをWindowsのエクスプローラーに似せて、トップ画面で自分が作成したフォルダーを一覧できるようにした。
従来のトップ画面には、直近に作成したフォルダーを優先的に表示する「最新のフォルダー」や、共有している他のユーザーの写真などを表示する「つながりの更新情報」などが動的に表示される形だったので、目的のファイルや写真にたどり着くのに苦労することがあった。
これについて同社は、「自分のファイルと他人のファイルの区別がつかない」といったフィードバックを基に「自分のファイルを前面、かつ中心に表示させる」という新しい方針に切り替えたと説明している。他人と共有しているフォルダーは、「あなたと共有されているドキュメント」として別に表示される形になった。
フォトアルバムが高速&キレイに
第三のポイントはフォトアルバムの機能の強化。「写真」をクリックしてフォトアルバムの一覧を開くと、アルバムごとにサムネイルが表示され、数秒間隔でサムネイルの内容が変わっていく。各アルバムを同時にスライドショーしているようなイメージだ。
さらにアルバムを開いて写真を一覧表示すると、タイル状にキレイに並べて表示される。縦位置、横位置の写真だけでなく、正方形に切り抜いた写真やパノラマ写真など不定形の写真があっても、自動的にぴったり並べて配置してくれる。従来のように、写真の形によって一部が削られてしまうようなことはない。
第四のポイントは「HTML5」への対応だ。HTML5は、IE9をはじめ他社ブラウザーでも対応が進んでいる最新のWeb記述言語。専用のプラグインなしで動画の再生などが可能になるのが特徴の一つだ。今回リニューアルされたSkyDriveは、HTML5がベースとされており、特別なプラグインがなくても、美しいスライドショーなどが可能という。またHTML5 VideoのH.264動画の再生にも対応している。
ただし、HTML5に対応していないIE8以前のブラウザーでは利用できないということではない。日本マイクロソフトの広報によると、「今後追加していく全ての機能を利用するためには、IE9のようにHTML5に対応したブラウザーが必要となるかもしれないが、SkyDriveのサービス自体はIE7/8でも使えるようなっている」という。実際、編集部のIE7環境で今回リニューアルされたSkyDriveにアクセスしてみると、フォルダーの表示やフォトアルバムの閲覧などについては、IE9とほぼ同じ使い勝手、表示が実現されている。
Windows 7のタスクバーに常駐
そのほか、Windows 7とIE9の組み合わせで利用できる「ピン留め」機能にも対応した。これは、Windows 7のタスクバーにWebサイトのアイコン(favicon)を常駐させて、ワンクリックでサイトにアクセスしたり、右クリックして「ジャンプリスト」を表示させたりする機能。SkyDriveのジャンプリストには、フォルダーへのリンクに加えて、Web版のWord、Excel、PowerPointを使って文書を新規作成するためのメニューも表示される。
同社では今後、フォトアルバムの新規作成やファイルのアップロード、ファイル名の変更や共有、アクセス許可の編集などの操作についても、大幅な改善を予定しているという。