写真●日本HPのPCサーバー「ProLiant DL980 G7」の外観
写真●日本HPのPCサーバー「ProLiant DL980 G7」の外観
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2011年6月15日、PCサーバー「ProLiant DL980 G7」に新モデルを追加したと発表した(写真)。同日より販売開始する。DL980 G7は、同社が販売するPCサーバーの最上位機種である。新モデルでは、インテルの最新型サーバー向けプロセッサ「Xeon E7」ファミリーを採用した。

 Xeon E7ファミリーは、1基のプロセッサ内に6個から10個のコアを内蔵する。10コアのモデルを採用すれば、DL980 G7内には8基まで搭載できるので、総コア数は80コア、同時実行スレッドの数は160となる(Xeon E7ファミリーについての関連記事)。

 日本HPの説明によれば、これまで80コアのサーバーを用意しようとすると、同社のサーバー機のラインアップで言えば「億円単位」の投資が必要だった。ところが「DL980 G7であれば、1200万円弱の価格で実現する。以前よりもかなり安価に、高い性能のサーバーが利用できるようになった」(同社の山中伸吾エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括サーバーマーケティング統括本部製品戦略室室長)。

従来機が数時間要していたバッチ処理が数十分、数分で済む

 日本HPが想定している使い方としては、大量のバッチ処理やデータ分析業務など。「従来のPCサーバーなら数時間を要していたバッチ処理が数十分、あるいは数分で済むようになる。これまでまる1日か2日をかけてレポートを作成していた業務、例えば、全営業担当者の予実管理情報を出す、全社における業績指標を算出する、といった処理がより早く実施できる。意志決定までに必要な時間が節約され、業務が大きく変わる」と山中氏は語る。

 内部のアーキテクチャについては、HPの最上位UNIXサーバー機「Integrity Superdome」シリーズで採用している技術を一部適用した。これにより、従来機種よりも処理性能や信頼性を高めることに成功したという。

 プロセッサ間については専用のノード・コントローラーで接続した。このコントローラーで処理性能のボトルネックになりやすいプロセッサ間の通信を最適化している。日本HPによれば、業界団体SPECのベンチマークテストにおいて、プロセッサを8基搭載するx86アーキテクチャ・サーバーの整数演算と浮動小数点演算処理で、世界最高の性能(6月8日時点)を記録した。

 メモリーについては「DDDC(ダブル・デバイス・データ・コレクション)」という保護機構を採用。メモリーの障害時に発生するシステム停止の頻度を66%削減したという。「メモリーはハードディスクの次に壊れやすい部品。DDDCにより、システム停止のリスクがさらに減る」(山中氏)。メモリーは最大2TBまで搭載可能。「近いうちに32GBのDIMMにも対応し、最大容量は4TBにまで拡張する」。

 また、最新型のプロセッサを採用したことや効率性の高い電源装置を採用したことにより、消費電力量を従来機種よりも削減したという。

 製品の仕様についてはCTO(カスタム・トゥ・オーダー)に対応する。価格は345万8000円(税別、以下同)から。プロセッサ内に10個のコアを持つXeon E7 2.4GHzを8基搭載し、搭載メモリーを256GBにした際の価格は、1141万1000円。