フィンランドNokiaは現地時間2011年6月14日、スマートフォンなどモバイル端末の技術をめぐって米Appleと争っていた特許訴訟について、両社がすべての訴訟で和解したと発表した。これによりAppleはNokiaに一時金と将来にわたる継続的な特許ライセンス料を支払う。

 金額については明らかにしていないが、英メディア(Financial Times)は、過去にAppleから支払われなかったライセンス料をNokiaが一括して受け取り、今後も年間数億ドルに上るライセンス料を得ると伝えている。

 NokiaのStephen Elop最高経営責任者(CEO)兼社長は発表資料で、今回のような和解によるライセンス収入が今後増えることを示唆。「我々はモバイル通信の市場で、さらなるライセンス供与の機会に注力することができる」などと述べている。

 一方のAppleは同日付で発表資料を出していない。だが米メディア(Wall Street Journal)は、同社の広報担当者が「今後は訴訟を忘れ、両社それぞれのビジネスに専念できる」と述べたと報じている。

 Nokiaは市場競争の激化を理由に、2011年第2四半期の携帯電話事業の業績予想を5月末に大幅に下方修正したばかりだった。しかし今回のAppleとの和解は、同事業部門の営業利益にプラスの影響があると見込んでいる(関連記事:NokiaがQ2業績見通しを下方修正、低価格・低利益率へのシフトが打撃に)。

 NokiaとAppleの特許訴訟が始まったのは2009年10月。Nokiaが10件の通信関連特許をiPhoneに侵害されたとして、米デラウェア州の連邦地方裁判所に提訴した。Nokiaはその後、米ウィスコンシン州の連邦地裁、英国の高等法院、ドイツとオランダの地方裁判所、米国際貿易委員会(ITC)にも提訴していた。

 Appleも、Nokiaに13件の特許を侵害されたとしてデラウェア州の連邦地裁に提訴し、ITCにNokia製品の米国への輸入差し止めを求めていた(関連記事:Nokia、ITCに再び提訴「事実上すべてのApple製品が特許侵害」と主張)。

[Nokiaの発表資料]