写真1●特殊印刷システム「トリックプリント」のデモ 可視光だけを当てているときはこのような絵柄になっている。
写真1●特殊印刷システム「トリックプリント」のデモ 可視光だけを当てているときはこのような絵柄になっている。
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写真2●写真1の紙にブラックライトで紫外線を当てるとこのように絵柄が変化する
写真2●写真1の紙にブラックライトで紫外線を当てるとこのように絵柄が変化する
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写真3●トリックプリントで使うプリンタと特殊RGBインク
写真3●トリックプリントで使うプリンタと特殊RGBインク
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 2011年6月8日から10日まで幕張メッセで開催されていたICT分野の総合展示会「Interop Tokyo 2011」の光文堂ブースでは、当てる光の違いによって1枚の印刷物に異なる2枚の絵柄を表示できるという、ユニークな印刷物およびそのプリントシステム「トリックプリント」を展示して、多くの来場客の注目を集めていた。

 トリックプリントを使って作った印刷物は、まず可視光(太陽光線や室内灯などの普通の光)を当てたときは写真1のように見える。これにブラックライトを使って紫外線を当てると写真2のように変化する(紫外線の強さを調整することで中間状態も表現可能)。2枚の絵を用意するのではなく、白い紙に紫外線を当てたときだけ1枚の絵を表示させるといった芸当も可能だ。

 同印刷システムのカラクリは、通常のCMYKのインクを使ったプリンターに、紫外線を当てると反応するRGB対応の特殊インク(TRICK Ink)を加えた合計7色のインクを使っていること(写真3)。(1)CMYKの減法混色は明るい空間で視認性が上がって暗い空間ほど視認性が下がる、(2)RGBの加法混色では逆に明るい空間で視認性が下がって暗い空間ほど視認性が上がる---という特徴を利用している。

 2枚の画像を用意して専用のソフトに読み込ませると、可視光で表示したい1枚めの画像に対しては、CMYKの色空間を使って印刷するように処理を施し、紫外線照射時に表示させたい2枚めの画像に対しては、RGBの色空間を使って印刷するように処理する。処理した2枚の画像を合成して印刷することにより、驚くほど異なる絵柄を1枚の紙の上で表現できる。

 価格については、「システム全体で115万円前後」(光文堂)だという。内訳は、ソフトウエアを含む印刷キットが75万円程度、プリンターが25万円程度、パソコンが15万円程度。同社では、同システムを使った出力サービスも提供しており、こちらの価格は印刷部数やサイズなどに基づく個別見積もりになると説明していた。

 なお、同社によれば、このトリックプリントを使った印刷物は、この夏に有名なテーマパークの限定チケットなどで使われる予定になっているという。とにかく初めて見たら驚くことうけあいのこの印刷システム、今後様々なところで目にする機会がありそうだ。