写真1●「Kinect for Xbox 360 Innovation Event」が開催された南カリフォルニア大学(USC)
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写真2●「Kinect Fun Labs」を担当するクドウ・ツノダ氏
写真2●「Kinect Fun Labs」を担当するクドウ・ツノダ氏
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写真3●ジェスチャーだけで楽しめるエアホッケーゲーム「Air Hockey」
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写真4●火星探索ゲーム「Mars Racer」
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 米マイクロソフトは2011年6月7日(米国時間)、「Kinect Fun Labs」の成果を披露する「Kinect for Xbox 360 Innovation Event」を南カリフォルニア大学(USC)で開催した。Kinect Fun Labsは、ゲーム機の入力装置「Kinect」の新しい応用範囲を広げる試みで、外部の研究機関や個人クリエーターなどと共同でアプリケーションの開発に取り組んでいる。USCとの取り組みも、その一つである(写真1写真2)。

 USCとの共同開発は、USC傘下にある複数の組織の既存研究テーマをベースとしている。例えば、画面上で自分の周りに表示された宝石をつかんで得点するゲーム「Jewel Mine」は、神経にダメージを受けて運動能力を失った人がリハビリする手段として開発されたもの。開発の主体は、米軍などが出資するInstitute for Creative Technologies(ICT)内にある医療VR(仮想現実)調査グループのモーター・リハビリテーション・ラボである。

 ジェスチャーだけでエアホッケーを楽しめる「Air Hockey」、火星探査を仮想体験できる「Mars Racer」、ユーザー自信が双方向機能が付いたメディアを作成する「Mother Nature」は、いずれも同大学の映画向けの双方向技術を開発するチームが作成した(写真3写真4)。

 Mother Natureを開発したダイアン・タッカー氏はUSCで動物の生態系における相関を研究していた。Mother Natureでは、ジェスチャーによって風景を作成し、例えば画面上で雲に触れることで雨を降らすような表現を実現した。「オブジェクト間の相互作用の数学的な裏付けとして、USCでの研究成果を応用した」(タッカー氏)。

 これらのアプリは、「短いもので数週間、長いもので1年半くらいをかけて開発された」(USC)。例えばMars Racerは、今回のイベント開催に向けて5月に着手、5週間で開発されたという。

 同Labsを企画したマイクロソフトのジェネラルマネージャー兼クリエイティブ・ディレクターのクドウ・ツノダ氏は、今回のプロジェクトを始めたきっかけは、Kinectの爆発的な普及だとする。「世界中の人たちが、Kinectを使って創造性を発揮し出した。そこで、独立のクリエーターや大学のクリエーター、そしてゲーム業界の人が一緒になる場を用意しようと考えた」(ツノダ氏)。

 共同開発するUSCのチームには、Xbox360とKinect、および専用の開発ツールを供与しているが、それ以上に重要なのが、マイクロソフトのゲーム開発者と学生が一緒に活動することだという。「ゲームのクリエーターが学生に教えるだけでなく、学生から教わることもたくさんある」(ツノダ氏)。ツノダ氏は「マイクロソフトは常に大学との関係を構築しようとしている」として、こうした取り組みを他の大学にも広げていく考えもあるようだ。Kinectアプリを共同開発するUSCの学生には「次世代の双方向エンターテインメントを作ってくれるだろう」と大きな期待を示した。