拡張現実(AR)アプリケーション「セカイカメラ」を手がける頓智ドット(頓智・)は2011年6月9日、近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」に対応したAndroidアプリのサンプルコードを公開したと発表した。

 このサンプルコードによるアプリは、NFC機能を備えたAndroid端末間で、コンタクトリストなどさまざまなデータを送受信するためのアプリだ。「Android 2.3.3」以上を搭載した端末向けに開発された。サンプルコードの公開先は、ソースコード管理のためのGitリポジトリ(ソフトウエアの管理場所)をネットワーク経由で共有するサービス「GitHub」である。誰でも自由にこのコードを入手し、オープンソース・ソフトウエアのライセンス「Apache License 2.0」に基づいて利用できる。

 NFCは、ICカード/タグの読み書きや端末同士のデータ交換などを可能にする無線規格。米Googleは2010年12月にリリースしたAndroid 2.3からNFC対応を進めており、自社ブランドのNFC搭載スマートフォンも提供している。さらに今夏に始めるモバイル決済サービス「Google Wallet」でも採用するなど、NFCの普及には非常に積極的である。ただし今のところ日本で使用可能なNFC対応スマートフォンが発売されていないこともあって、NFCに対応したAndroidアプリはまだまだ少ない。

 頓智・はサンプルコード公開の狙いについて「アプリケーション開発者同士のコミュニケーションが活性化し、フィーチャーフォンで一般的だった『赤外線通信』に代わるプロフィール交換アプリやゲームなどのAndroidアプリケーション開発の契機になればと考えています」と説明している。また自社事業との関わりについては「NFCが普及することが、広義の意味において、頓智・の事業の主軸である『AR(Augmented Reality、拡張現実)』の普及に繋がると考え、R&Dの一環としてNFCへの取り組みを開始しました」と述べている。