米Facebookが同社のSNSサイト「Facebook」に実装している自動顔認識機能について、業界やプライバシー擁護団体などが懸念を表明している。米メディア各社(BusinessweekWall Street JournalNew York Timesなど)が現地時間2011年6月8日に報じたところによると、欧州連合(EU)のデータ保護関連当局が調査に乗り出す予定という。

 Facebookは6月7日に、投稿写真のタグ付け提案機能「Tag Suggestions」を公開した。同機能は、顔認識ソフトウエアを使って、写真に写っている人物の顔を自動で判別し、人名タグの候補を提示してタグ付けを促す。数カ月前から限定的に提供していたが、このたびFacebookサービスを展開しているほとんどの国で利用可能になった(Facebook公式ブログ)。

 Tag Suggestionsのタグ候補に含まれたくないユーザーは、アカウントメニューからプライバシー設定を開き、「Customize Settings(設定をカスタマイズ)」で「Suggest photos of me to friends(写っている写真のタグ付けを提案)」を無効に切り替えればよい。なお、同機能を無効にすると自動判別によるタグ候補からは外れるが、友達は引き続き手動でタグ付けすることができる。

 写真のタグ付けができるのは友達に限られ、友達がタグ付けした場合は通知が届く。また、友達が実行したタグ付けを削除することも可能。

 上記メディアによれば、EUデータ保護指令が定める第29条作業部会は、同機能がプライバシー規定に触れる疑いがあるとして調査を行う方針だ。また英国およびアイルランドの当局も調査する意向を示している。

 同機能で特に問題視されているのは、タグ付け提案がデフォルトで有効になっていることと、タグ付けを事前に拒否するオプションを提供していないことである。米下院議員のEdward J. Markey氏は「オプトアウト方式(事前の承諾を得ない方式)ではなく、ユーザーの承諾を得てから有効にするオプトイン方式で提供するべきだ」と批判している。

 また米電子プライバシー情報センター(EPIC)は、「ユーザーは単純に友達をタグ付けしているだけと考えているが、Facebookはオンラインでの個人識別を自動化する画像プロフィールデータベースを構築している」と懸念を示し、米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申請するとしている。