KDDIやケイ・オプティコム、ソフトバンクグループなどの通信事業者22社は2011年6月8日、NTT東西地域会社の活用業務制度に関する規制緩和について、見直しを求める要望書を片山善博総務大臣に提出した。

 これは今国会でNTT法におけるNTT東西地域会社の県間サービス(活用業務)が、認可制から届け出制に改正されたことを受けたものである。通信事業者22社は今回の規制緩和を、「公正競争上問題のあるサービスをNTT東西が既成事実化し、なし崩し的に業務範囲を拡大する恐れが濃厚」として、慎重に運用するよう求めている。また今後議論する省令やガイドラインにおける、競争環境の同等性の確保や、グループドミナンス排除の実効性の担保を求めた。

 さらに今後NTT東西が活用業務という形で移動体通信やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)などの事業に参入することを、「公正競争上問題があるだけでなく、1999年にNTTの独占部門と競争部門を分離した『NTT再編』の趣旨に反するものである」と指摘し、明確な禁止事項として追加するように求めた。加えて、透明性を確保し検証機能を強化することを目的に、公正競争確保のための委員会などを設置することも求めた。

 NTT東西による活用業務を届け出制にすることを盛り込んだNTT法の改正は、2011年5月26日の衆議院本会議で可決した。今回の法改正は、2010年12月に総務省が取りまとめた「光の道」構想に関する基本方針に沿ったものだ。NTT東西に対するドミナント規制を強化する電気通信事業法の一部改正と、NTT東西の業務範囲を弾力化するNTT法の一部改正がセットになっている。

 このうち電気通信事業法の改正では、NTT東西に対し子会社が反競争的行為をしないように監督することと、接続業務で知り得た情報の適正な管理体制を整備することを義務付け、規制を強化した。一方NTT法の改正では、NTT東西が提供する活用業務を、これまでの認可制から事前届け出制に緩和し、市場の環境変化や消費者ニーズに迅速に対応できるようにした。

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