写真1●IPv6を使ってWorld IPv6 Day参加組織へWebアクセスできる状態になっている(パケットキャプチャ画面)
写真1●IPv6を使ってWorld IPv6 Day参加組織へWebアクセスできる状態になっている(パケットキャプチャ画面)
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写真2●IPv6のみでYouTubeへアクセスしてみたところ、バナー広告が表示されないという現象が発生した
写真2●IPv6のみでYouTubeへアクセスしてみたところ、バナー広告が表示されないという現象が発生した
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 2011年6月8日午前9時(日本時間)、世界規模のIPv6実地試験「World IPv6 Day」がついに始まった。同試験には、インターネットのインフラを提供する企業やWebサイト運営組織など世界中から430を超える企業や組織が参加(最新の参加組織リスト)。日本時間で9日午前9時までの24時間の間、IPv6インターネットへの移行に向けて、実環境での運用で発生する問題の検証やアクセス動向の分析などが行われる予定となっている。

 World IPv6 Dayに参加するWebサイトなどは、自組織のドメイン名を管理するDNSサーバーに対して、IPv6でアクセスする際に必要となるDNSリソースレコード(RR)である「AAAAレコード」を登録し、午前9時から問い合わせに応答できるようにしている(それ以前から登録しているサイトもある)。これにより、IPv6インターネット接続が可能なパソコンは、通常のIPv4ではなくIPv6を使って参加組織のWebサイトにアクセスできる(写真1)。

 実際に、IPv6を使って主要な参加企業の1社である米グーグルの動画共有サービス「YouTube」にアクセスしてみたところ、動画の閲覧などは問題なく実行できた。ただし、バナー広告の表示が行われないケースがあるなどの現象も発生している(写真2)。これはおそらく、IPv6のみ使えるパソコンで接続したため、リンク先がIPv4のみに対応していることにより正しく表示されなかったのだと思われる。

 実際のユーザーは、ほとんどがIPv4とIPv6を併用する形(デュアルスタック)になるため、必要に応じてIPv4への切り替え(フォールバック)が自動で行われて上記のような現象はほとんど発生しないはずだ。ただし、環境によっては逆にこのフォールバックがうまくいかないことによるトラブルなどが発生することも予想されている。

 特に日本の場合、NTT東西のフレッツ光ユーザーの一部がWorld IPv6 Dayに参加しているWebサイトに正しくアクセスできなくなる恐れが出ており、実際にどの程度の影響が出ているのかはこれから午後にかけて徐々に明らかになるだろう(関連記事:フレッツ光ユーザーは6月8日の「IPv6 Day」に注意、Webが見られぬ恐れ)。

 こうした問題を含め、試験実施中には様々な問題が起こることが予想される。IPv6の世界規模での実地試験は史上初めてということもあり、何が起こってどのくらい影響があるのかは誰も正確に予想できない。追加の情報が入り次第、ITproでも続報をお届けする。編集部では、フォールバックの失敗が起こるケースなどについても独自に検証する予定だ。