AMDは2011年6月7日、次世代CPUのブランド名「FX」シリーズを正式に発表した。開発コード名「Zambezi」で呼ばれていた製品で、最大8スレッドを同時に実行可能。発売済みのFusion APU Eシリーズ、6月中に登場するFusion APU Aシリーズの上位に位置する。チップセットは「AMD 9」シリーズに対応する。

AMD FXシリーズのロゴ。

FXシリーズは性能重視向けと位置付けで、グラフィックス機能を内蔵した、EシリーズやAシリーズの上位となる。AMDの資料より抜粋した。
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 AMDは5月末に自社のWebサイトでブランド名を公開。マザーボードメーカーはそれより前から、マザーボードの対応CPUとしてFXシリーズを挙げていた。

 FXシリーズは「Bulldozer」との開発コード名で呼ばれるモジュールを複数搭載する。Bulldozerは、整数処理用の演算ユニット2セットと、共用の浮動小数点処理ユニットを組み合わせており、1モジュールで2スレッドを実行可能だ。FXシリーズの最上位モデルは、4モジュール搭載しており、AMDは「初のネイティブ8コアCPU」とうたっている。

 AMDはFXシリーズの詳細な仕様やモデルナンバーは明らかにしていないが、4モジュール/8コアのほか、3モジュール/6コア、2モジュール/4コアの製品がある。現行品の「Black Edition」と同様、FXシリーズの全ての製品は倍率可変だ。

Bulldozerモジュールの構造。整数処理用のコア1、コア2と、共用の浮動小数点処理ユニットの組み合わせだ。各コアは1次キャッシュを備え、2MBの共有2次キャッシュがある。CPU全体としては各モジュールで共有する3次キャッシュも備える。
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2コアで共用する、128ビットの浮動小数点処理ユニットを2個搭載する。各コアでそれぞれ128ビットのAVX(Advanced Vector Extensions)を処理させることと、2個をまとめて256ビットのAVXを処理させることが可能だ。暗号化や復号のための「Advanced Encryption Standard(AES)命令セット」も搭載する。ハードウエアで暗号化すると、Phenom II X6 1100Tの2倍以上の性能が出るとしている。
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FXシリーズのパッケージ。最上位の4モジュール、8スレッド動作の製品は、紙ではなく缶のパッケージだ。
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日本AMDによるAMD FXシリーズの動作デモ。動作周波数は800M~3.6GHzだったが、サンプル品のため最終仕様ではないとのことだった。
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