図1●2種類の物質の組み合わせから化学反応の結果などを予測する機能を持つ
図1●2種類の物質の組み合わせから化学反応の結果などを予測する機能を持つ
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 アクセルリスは2011年6月7日、創薬や素材合成などの研究開発(R&D)を支援する統合管理ソフト「Enterprise Lab Managementスイート」を日本で発売すると発表した。化学や医薬品業界のほか、素材開発を伴う電機、自動車業界など製造業全般に売り込み、今後3年間で25社以上の受注を見込む。

 薬品や化学物質の情報をデータベース化して、創薬や素材合成をシミュレーションしたり、実験データを集約・分析して企業内で共有したりできる。実験データや化学物質の情報を変換して受け渡す基盤ソフト「Pipline Pilot」を核に、R&Dを支援する様々なソフトウエア製品を組み合わせて使えるようにした。

 例えば、化学反応のデータベースは、シミュレーション・ソフトを使うことで2種類の化学物質の反応のしやすさをコンピューター上で予測できる(図1)。望ましい結果が得られそうな組み合わせだけを抽出することで、必要な実験の数を減らせる。実際に行なった実験はデータを一元管理し共有することで、ほかの研究者が同じ実験を繰り返すムダを省ける。

 また研究者の着想や実験計画などをデジタル保存し、特許申請に役立てる「実験ノート」などのソフトウエアも用意した。一連のR&D活動全般をIT化することで、コスト削減やスピードアップが図れるという。

 日本法人であるアクセルリスの親会社、米アクセルリスはR&D支援ソフトの最大手で、2010年に同業の米シミックスと合併した。アクセルリスはR&Dの業務フロー設計やデータ収集、シミュレーション用ソフトなどで、シミックスは実験ノート用ソフトや化学物質のデータベースなどで強みを持つ。合併を機に2社の製品の統合を進めており、今回、基盤ソフトのPipline Pilot上で2社の各種ソフトウエアを動作できるようにしたスイート製品を実現させた。