写真1●ウェブテクノロジ・コムの電子書籍制作向け画像軽量化ソフト「OPTPiX imesta 7 for eBook」
写真1●ウェブテクノロジ・コムの電子書籍制作向け画像軽量化ソフト「OPTPiX imesta 7 for eBook」
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写真2●発生したモスキートノイズの例
写真2●発生したモスキートノイズの例
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図1●1枚の元画像からJPEG画像とPNG画像の2枚を生成する
図1●1枚の元画像からJPEG画像とPNG画像の2枚を生成する
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図2●JPEG画像とPNG画像を同じ位置に重ねて表示することで「ハイブリッド画像」になる
図2●JPEG画像とPNG画像を同じ位置に重ねて表示することで「ハイブリッド画像」になる
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写真3●生成後のハイブリッド画像をJPEGで圧縮したデータとほぼ同サイズにしたときの比較
写真3●生成後のハイブリッド画像をJPEGで圧縮したデータとほぼ同サイズにしたときの比較
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 ウェブテクノロジ・コムは2011年6月6日、電子書籍制作向けに高品質で軽量な画像データを生成するためのWindows用ソフト「OPTPiX imesta 7 for eBook」(写真1)を発売することを発表した。価格は1ライセンス4万5000円(税別価格)で、6月中旬から販売を始める。

 電子書籍に写真や画像などのコンテンツを掲載する場合、一般にJPEG形式で圧縮することが多い。このとき、配布するデータサイズを小さくするために圧縮率を高めると、特にイラストや図表、飾り文字などの部分で目障りなモスキートノイズ(写真2)が発生しがちになる。

 JPEG形式で画像を圧縮する以上、この問題は避けて通れない。サイズが大きくなっても構わないから品質を高めるか、品質を犠牲にしてでもファイルサイズの小ささを優先するか---。電子書籍制作者はこのジレンマに悩まされることになる。

 OPTPiX imesta 7 for eBookは、この問題を“コロンブスの卵”的発想で解決する。変換したい画像を同ソフトに取り込むと、画像を解析して、JPEGを使う方が適切な領域とPNG形式の画像を使うのが適している領域に細かく分割し、それぞれの方式で圧縮、2枚の画像を生成する(図1)。

 PNG画像側には透過色が設定されており、JPEG画像側を下に敷くことで、2枚が重なって元と同じ画像が見える仕組みになっている(図2)。つまり、PDFファイルなどで2枚の画像をピタリと重ねて配置することで、ユーザーに対して1枚の高品質かつ軽量な「ハイブリッド画像」として写真や画像を見せられるわけだ。

 ウェブテクノロジ・コムによれば、変換元となる画像データの種類や設定するパラメータなどによって、生成されるハイブリッド画像がどのくらい軽量化されるかは千差万別であるとしている。しかし、例えばイラスト中心のデータをJPEGで作成したデータと同程度のファイルサイズに揃えた場合、誰が見ても一目でハイブリッド画像の方が美しい画像と思えるほど違いは明らかだという(写真3)。

 同ソフトは、現段階ではハイブリッド画像を生成する機能しか備えておらず、2枚の画像を同じ位置に貼り込むといった処理は電子書籍制作ソフト側で実行する必要がある。ただし、同社によれば、将来的には例えばアドビシステムズのInDesignなどのソフトから画像を取り込んで同ソフトで変換、自動的に元データと差し替えるといった連携機能の搭載も考えているという。

 なお、同社では、製品版のOPTPiX imesta 7 for eBookと同じ仕組みでハイブリッド画像を手軽に体験できる無償のWebアプリケーション「OPTPiX eBook ALPHA」の公開も同日付で始めている。

 利用回数(1日5回まで)やファイルサイズ(最大5000ドット四方、8Mバイトまで)に制限があったり、編集機能などが用意されていなかったりといった機能省略はあるものの、ハイブリッド画像とはどのようなものなのかを自分の手持ちの画像で実際に体験できる。興味のあるユーザーは、まずこちらを試してみるとよいだろう。