インターネットイニシアティブ(IIJ)は2011年6月2日、同社の個人向けサービス「IIJ4U」「IIJmio」のユーザー向けに無償で提供するIPv6インターネット接続機能「IPv6仮想アクセス」を6月6日から強化すると発表した。

 従来の機能は「IPv6仮想アクセス(端末型)」と呼ばれていた。これはWindows Vista/7が標準で備える「PPTP」というプロトコルを利用しており、IIJが網側に用意した終端装置とパソコンなどの端末との間にトンネルを確立して、IPv4ネットワーク上でIPv6パケットを転送する。IPv6プレフィックスは最小の「/64」という単位で動的に割り当てられ、IPv6インターネットに接続できるのは1台の端末に限られていた。

 今回、新たに追加された「IPv6仮想アクセス(ネットワーク型)」は、IPv4ネットワーク上にトンネルを形成してIPv6パケットを流すという基本は従来と変わらない。ただ、トンネリングプロトコルに「L2TP」を使う点、割り当てられるIPv6プレフィックスは「/56」で、複数の端末が同時にIPv6接続できる点が異なる。IPv6プレフィックスはユーザーごとに完全に固定ではないが、「なるべく変わらないように運用する。引っ越しなどで拠点が物理的に移動するか、IIJ側の設備をやむを得ず変更するなどのことがなければ、基本的に変わらない」(IIJの担当者)という。

 IPv6仮想アクセス(ネットワーク型)を利用するには、L2TPに対応したルーターが必要だ。シスコシステムズやジュニパーネットワークスの製品でしかるべき設定をすれば使えるが、一般の家庭用ブロードバンドルーターなどでは対応していないケースも多い。そこで、IIJではソフトウエアルーター「SEIL/x86」をパソコンなどに導入して、L2TPルーターとして利用するという手法を紹介する予定だ。6月6日の「IPv6仮想アクセス(ネットワーク型)」の提供開始に合わせて、SEIL/SMFコミュニティのWebサイトで設定方法などを公開するとしている。SEIL/x86はインストールして試用するだけなら無償。ただし、無償版はコンフィグレーションが保存できない。コンフィグレーションを保存するにはライセンス料金として800円が必要となる。

 なお、このSEIL/x86は6月1日に始まったNTT東日本/西日本のNGN上でのIPv6接続サービスにも利用できる。PPPoEトンネルを使ってIPv6インターネット接続を提供する「インターネット(IPv6 PPPoE)接続」(旧名称は「トンネル方式」)のアダプターとして動作するという。こちらの設定方法は、すでにSEIL/SMFコミュニティで公開されている。