米Oracleは2011年6月1日(現地時間)、OpenOffice.orgのコードをThe Apache Software Foundationに寄贈すると表明した。OpenOffice.orgから派生したLibreOfficeを開発しているThe Document Foundationは同日、Apache Software Foundationとの話し合いを始めたことを明らかにした。

 これによりOpenOffice.orgはApache Foundationのインキュベーター・プロジェクトとなる。インキュベーター・プロジェクトは正式なプロジェクトに昇格する前の準備段階と言える位置付けだ。Oracleは副社長 Luke Kowalski氏の名前で「Apache Foundationのモデルは、商業と個人のボランティア貢献者の連携によるオープンソースソフトウエア開発を可能にするものだ」とのコメントを発表した。

 The Document Foundationは、OracleによるSun Microsystemsの買収をきっかけとして、OpenOffice.orgの主要開発者が設立したコミュニティ。Document Foundationは「Oracleからの分離により、OpenOffice.orgとLibreOfficeプロジェクトが再び1つのコミュニティとして統一されるのであれば歓迎したい」との声明を発表した。

 ただしDocument Foundationは「Oracleがとったステップは疑いなく善意でなされたものだが、直ちに我々の目標(統一)が達成されるわけではない」とする。懸念として挙げているのはライセンスとメンバーシップなどである。OpenOffice.orgとLibreOfficeのライセンスはLGPL v3であり、Apache Foundationの標準はThe Apache Licenseだ。これらの点についてDocument FoundationはApache FoundationのプレジデントであるJim Jagielski氏との話し合いを開始したことを明らかにした。

 Document Foundationは今週リリース予定のLibreOffice 3.4.0、1カ月後にリリース予定の3.4.1、および次期メジャーアップデートとなる3.5の開発を継続していくとしている。

 また米IBMも同日、「Apache Foundationの新しいOpenOffice.orgプロジェクトに貢献していく」との声明を発表した。IBMはOpenOffice.orgベースのオフィスソフトであるLotus Symphonyを提供している。

[Oracleの発表文]
[The Document Foundationの声明]
[IBMの声明]