NTT-MEは2011年6月2日、法人向けIP電話サービス「XePhionコールPro」および個人ユーザー向けのIP電話/IPテレビ電話サービス「WAKWAKフォン/WAKWAK TVフォン」において、一部の国・地域向けの国際通話で料金の誤請求が発生していた可能性があるという問題(関連記事:NTT-MEのIP電話サービスで誤請求が判明、2011年2月分以前は利用記録の保存なし)について、補足説明を行った。

 同社はまず、ユーザーがどの対地(通話先)に向けて発信したかなどの詳細を記した「利用記録」について、2011年2月分以前の利用記録を残していないという件に関して説明を補った。それによると、そもそも利用記録とは「通話量に見合った通話料金を請求する」ために使う情報であり、ユーザーから過去の利用料金の問い合わせなどがあったときにも同記録を参照して対応しているという。

 ただし、ユーザーから過去の利用料金について問い合わせがある場合、「多くは1カ月以内、長くても2カ月前までの問い合わせがある程度」(同社)だという。こうした事情に加え、「ユーザーの通話履歴というプライバシーにかかわる情報を長期にわたって保存しておくことは、通信事業者として適切ではない」という考え方のもと、「3カ月を経過して不要となった情報は速やかに削除するというポリシーに基づいて、当初からサービスを運用している」とした。過去3カ月分という保存期間に関しては、プライバシー保護の観点から今後も延長するなどの措置は考えていないという。

料金履歴や対地ごとの支払い総額データを基に対応

 次に、誤請求の原因について同社では、「料金テーブルを変更する担当者が閉じた業務として作業しており、ダブルチェックなどをする体制が整っていなかった」と内情を説明。加えて、定款変更後の定期的なチェックなども行われていなかったとし、社内のチェック体制に不備があったことが直接の原因であるとの認識を改めて示した。

 こうした原因を踏まえて同社では、今後の再発防止策として「複数の部署および担当者で多重チェックする体制を早々に構築し、二度と今回のような誤請求が起こらないよう徹底する」と表明した。年1回は料金テーブルの定期チェックをすることに加えて、料金の変更がある際には、必ず多重チェックを実施するとしている。

 誤請求が発生した可能性があるユーザーへの通話料金の返還については、利用記録が残っていないためユーザーからの申告がやはり必要であるとしながらも、「情報提供も含めできる限り誠意を持って対応する」とした。

 NTT-MEによれば、上述したように個々のユーザーによる対地ごとの通話記録などは残っていないものの、過去にユーザーが支払った通話料金については、国際通話分と国内通話分を分けた形でデータを持っているという。

 ユーザーから誤請求に関する問い合わせがあった場合、まずこの通話料金データを参照し、国際通話を利用したかどうかを調べる。国際通話を利用したことを確認できた場合、ユーザーと相談の上、その月に支払った国際通話料金分の総額を上限とする範囲内で料金を返還するとしている。

 同社のIP電話サービスは、海外への発信の際に直接対地に向けて発信するのではなく、国内の別の事業者が中継する形で発信する構成をとっているという。このため、同社では過去のどの月にどの対地に向けてどれだけの発信があって、中継事業者にいくら支払ったのかといった対地ごとの総支払い額のデータを持っている。ユーザーへの料金の返還は、この総額を上回らず、かつ申請したユーザーが支払った利用料金の総額以内で実施されることになるわけだ。

 なお、同社によれば、誤請求に伴う料金返還の対象となりうるユーザーの総数は、二つのサービスを合わせて4月末時点で合計約2.4万ユーザーほどだという。内訳は、個人ユーザー向けのIP電話/IPテレビ電話サービス「WAKWAKフォン/WAKWAK TVフォン」のユーザー数が約1.4万人、法人向けIP電話サービス「XePhionコールPro」が同約1.0万人となっている。