日本IBMは2011年6月1日、商取引に関する次世代ビジョン「スマーターコマース」を実現するためのコンサルティングサービス、システム構築、運用・保守サービスを開始した。同社 理事 ソフトウェア事業 インダストリー・ソリューション事業部長の田崎慎氏は、「スマーターコマースを推進するために、2010年の1年間にグローバルで約25億ドルの投資をして3社を買収し、『マーケティング』『販売』『サービス』『購買』の4つのプロセスに関連するソフト製品を拡充した」とアピールした。

 同社が提唱するスマーターコマースとは、前述の商取引の4つの段階であるマーケティング、販売、サービス、購買を対象として、(1)消費者のニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応できる、(2)リアル店舗、ECサイト、コールセンターなど複数のチャネルが統合されている、(3)商品のライフサイクル全般に関するトレーサビリティ、といった特徴を持つシステムの構築を目指す概念である。例えば、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上の消費者の声に反応して商品の種類・提供方法などを変えることや、ECサイトとリアル店舗の注文管理や在庫管理の統合、RFIDやQRコードを利用した商品の鮮度管理など、より便利な商取引を実現する。

 コンサルティングサービスの一例には、これからスマーターコマースに向けた改革を始めようという企業向けのスターターキット「クイック診断プログラム」がある。サプライチェーンやシステムをスマーターコマースのビジョン達成に向けて最適化する前に、5週間程度の時間をかけて現状の課題を分析するプログラムで、料金は500万円から。

 なお、米IBMは、2010年6月にWebアナリティクス製品を開発する米Coremetricsを買収。同年8月にはマーケティング管理ソフトなどを持つ米Unica Corporationとサプライチェーン管理ソフトを提供する米Sterling Commerceを買収している。同社のスマーターコマース事業は、これら3社の製品群を中核として、ビジョンを実現するための戦略策定コンサルティング、システム構築、運用・保守サービスを提供する。