フレッツ光ユーザーは2011年6月8日、「Yahoo! Japan」や「Bing」といった著名サイトを閲覧できなくなる恐れがある――。IPv6を使ったインターネット接続をテストする「World IPv6 Day」を6月8日に控えて、日本マイクロソフトやヤフーなどが、ユーザーに注意を呼びかけている。

 日本時間6月8日午前9時から9日午前8時59分まで実施されるWorld IPv6 Dayは、世界中のWebサービス事業者などが連携して、この日だけ各社のWebサイトをIPv6対応にするというイベントだ。米グーグルや米マイクロソフト、米フェイスブック、米ヤフーなどのほか、日本でもNECビッグローブ、NTTコミュニケーションズなどが参加を表明している。

 しかし、NTT東日本とNTT西日本が提供する「フレッツ光」のユーザーは、World IPv6 Dayの期間中、参加企業のWebサイトを閲覧できなくなる恐れがある。NTT東西は、フレッツ光のユーザーに対してIPv6アドレスを割り当てているが、このIPv6アドレスはフレッツ網の中でしか利用できない。フレッツ光ユーザーは一部を除いて、IPv6を使ってインターネットにアクセスできない状況なのだ。

 フレッツ光ユーザーが6月8日に、マイクロソフトなどのWebサイトにアクセスしようとすると、接続エラーが発生する恐れがある。WebブラウザーなどのアプリケーションがIPv4とIPv6の双方を使える場合、まずIPv6を使おうとするからだ。Webブラウザーによっては、IPv6を使った接続エラーが発生した場合に、接続をIPv4に自動的に切り替えるものがある。しかし、マイクロソフトのWebブラウザーで、IPv4への切り替えに対応しているのは、最新の「Internet Explorer(IE) 9」だけ。IE9より前のバージョンは切り替えに対応していない。

 日本マイクロソフトのWebサイト「重要:World IPv6 Day に関する重要なお知らせ 」によれば、IE 9より前のバージョンのIEを使っていて、「ホームルーター」を利用していない、または「IPv6対応ホームルーター」を利用しているフレッツ光ユーザーは、World IPv6 Dayの期間中、IPv6対応のWebサイトが見られなくなる。IPv6対応のWebサイトを見るためには、IE9を使用したり、OSの設定でIPv6を無効にしたりする必要がある。日本マイクロソフトは同サイトで、IPv6を無効にする方法を紹介したり、IPv6を一時的に無効にするツールを配布したりしている。

 なお、フレッツ光ユーザーがIPv6を無効にすると、NTT西日本の「フレッツ・v6アプリ」など、IPv6を使うテレビ電話や動画配信などが、そのパソコンで利用できなくなる。これらのサービスのユーザーは、6月8日だけIPv6を無効にし、その後に有効にするといった対応が迫られる。日本マイクロソフトが配布するツールを使うと、World IPv6 Day後にWindowsを再起動すると、IPv6が自動的に有効になる。

 ヤフーは6月1日、「World IPv6 Day特集」を公開し、ユーザーのインターネット環境において、6月8日に問題が生じないかチェックできるようにしている。このほか、日本インターネットプロバイダー協会でも、Webサイト(http://www.jaipa.or.jp/ipv6day/)で注意を呼びかけている。

 NTT東西は6月1日から、IPv6を使ってインターネットに接続できるようにするサービスを始めている(関連記事:NTT東西のNGN上のIPv6接続、トンネル方式が6月1日、ネイティブ方式が7月26日スタート )。しかしサービスの利用には、専用アダプターの購入が必要だ。IPv6によるインターネット接続にメリットが少ない現状、ユーザーに対応を求めるのは難しい。

 現時点では、NTT東日本、NTT西日本とも、フレッツ光ユーザーへの注意の呼びかけは行っていない。

■変更履歴
当初、World IPv6 Dayの参加企業にニフティと記述しておりましたが、同社は参加しません。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/06/02 15:00]