デルは2011年5月31日、新しいストレージ戦略「Fluid Dataアーキテクチャ」の発表会を開催した。このFluid Dataアーキテクチャで、「適切なデータを適切なストレージに適切なコストで保管することを目指す」(米デル 日本アジア太平洋地域インテリジェントデータ管理ディレクターのエイドリアン・ジョンソン氏、写真1)という。
ジョンソン氏によると、「ユーザーが管理しているデータの中で平均68%は90日間以上アクセスされていない」。この数値に基づき、すぐに取り出せる一次ストレージで管理するデータは約30%で、それ以外の70%のデータはディスクやテープといった静的なストレージに保存しておくのが適切と主張する(写真2)。しかも静的ストレージに保存したデータについても必要なときに取り出せるようにしておく必要があるとする。Fluid Dataアーキテクチャでは、こうした管理を簡単に実現するために、SAN/NASやディスク、テープといったストレージを階層型に管理し、それらの間でデータの重要性に応じて自動的にデータを移動させ、重複するデータは排除して効率化を図るような製品群を提供していく。
ただし、今回の発表会では具体的な製品やソリューションについては発表されなかった。同社は、SANベンダーのEqualLogic、NASベンダーのExanet、データ圧縮と重複排除技術ベンダーのOcarina Networks、階層型SANベンダーCompellent Technologiesといったストレージ関連企業を、2007年から次々と買収してきている(関連記事1、関連記事2)。これらの買収した製品について、「今後、Fluid Dataアーキテクチャに沿って、ストレージのロードマップをコミットしていきたい」(執行役員エンタープライズ・ソリューションズ・グループ コンピューティング&ネットワーキングAPJ統括本部長の町田 栄作氏、写真3)とする。
発表会には、ヴイエムウェアの代表取締役社長である三木 康雄氏も出席した(写真4)。同氏は、デルが社内のプライベートクラウド構築のためにVMwareで2010年中に約1万1000サーバーを仮想環境で動作させているほか、デルがVMwareのライセンスを最も販売している世界一のOEMパートナーであると語り、2社が世界レベルで協業していることをアピール。日本国内でも、従来の大企業に加え、中小企業まで共同でマーケティング活動を実施していく方針を示した。