金融庁は2011年5月31日、みずほ銀行が2011年3月に起こしたシステム障害に関して、障害を起こした当事者であるみずほ銀行と、持株会社として経営監督をする責任があるみずほフィナンシャルグループ(FG)に対して、業務改善命令を出した。金融庁は、両社の経営責任を厳しく追及し、今後は業務改善の実施状況を定期的に報告するよう命じた。

 みずほ銀行のシステム障害は、東日本大震災の義援金受け付け口座に大量の振り込みが集まり、それによって夜間バッチ処理が異常終了したことを引き金に発生した。その後、ATMの停止や大量の振り込み処理の遅延などが発生したが、金融庁はこれらに関して「みずほ銀行が夜間バッチの異常終了後に不適切な復旧対応を行ったため、障害が拡大した」と厳しく指摘。みずほ銀行のシステム運用体制や経営体制、みずほFGの経営監督体制に不備があったと断じている。

 金融庁はみずほ銀行に対して、同行が5月23日に発表した再発防止策を速やかに実行するだけでなく、さらなる再発防止策の検討や、システムリスクの総点検、システム障害により迷惑を被った顧客への対応、経営責任の明確化などを行うように命じている。みずほ銀行は金融庁に対して、これらを実施するための改善計画を6月末までに提出するほか、その後も3カ月に一度の頻度で実施状況を報告する。

 みずほFGに対しても、業務改善策の再検討や、システム戦略の見直し、グループ会社の管理態勢や人事管理態勢の強化、経営の所在の明確化などを命じている。みずほFGも、6月末までに改善計画を提出し、3カ月に一度の状況報告を実施する。

 みずほ銀行とみずほFGはこれら行政処分を受けて、「再びこうした事態を起こすことのないよう改善・対応策を着実に実行するとともに、皆さまにご信頼いただけるよう、『お客さま第一主義』の原点に立ち返り、全役職員が一丸となって取り組んでまいる所存です」とのコメントを出している。具体的な改善策などについては、後日改めて発表するとしている。