写真●アドビシステムズのクラウドを使った電子出版向けソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」の制作ワークフロー
写真●アドビシステムズのクラウドを使った電子出版向けソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」の制作ワークフロー
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 アドビシステムズは2011年5月25日、東京で記者向けの説明会を開催し、クラウドを使った電子出版向けの新ソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」(以下、ADPS)を、7月下旬をメドに国内販売開始する予定であることなどを発表した。

 ADPSは、電子書籍の作成や配信、課金、記事や広告の閲覧動向把握機能などを備えた電子出版向けの統合ソリューション。同社のDTPソフト「Adobe InDesign CS5」あるいは同CS5.5を使った従来の紙ベースの出版物制作ワークフローにアドオンする形で、動きを持たせたり音を出したりといったインタラクティブ要素を加えた電子書籍をiPadやAndroidタブレット向けに作成できる。

 制作部門は、InDesign CS5/5.5を使って作成した誌面データ(indd形式)に「Overlay Creator」というツールを使って電子書籍向けのコンテンツを追加し、「Folio Builder」を使ってADPSにアップロードする。受け取った編集部門では、「Folio Producer」というツールで編集して「folio」(中間データ)形式のデータを作成し、ADPSの配信用サーバーに送信。最終的に、同サーバー上で「Viewer Builder」を使ってiPad/Android向けに電子書籍アプリ(ipaあるいはapk形式)を書き出すといった流れになる(写真)。

 出版社を含む一般企業向けに固定メニューとして提供する「プロフェッショナル版」と、書籍販売サイトを自社で運営する大手出版社など機能やサービス内容をカスタマイズしたい企業向けの「エンタープライズ版」の2種類のエディションを用意する。価格は、プロフェッショナル版の参考価格が「年間60万円」となっている。同社は直接販売せず、代理店経由で販売する。エンタープライズ版については個別見積もりだという。

 プロフェッショナル版の60万円という価格には、「プラットフォーム利用費」と5000ダウンロード分の「サービス費用」が含まれている。サービス費用とは、電子書籍を定期刊行物形式で出版するケースなど、同社の配信サーバーを通じてダウンロード配信する場合に必要な費用であり、電子書籍を単体アプリとして作成し、マーケットプレイスなどを通じて独自に販売する場合にはかからない。発行できる媒体数やアプリケーション数に一切制限はなく、「単体アプリ形式の電子書籍なら60万円で作り放題」(同社)だという。

■変更履歴
記事公開当初、タイトル中に「月額60万円」と記述していましたが,正しくは「年額60万円」です。お詫びして訂正します。タイトルは修正済みです。 [2011/05/30 18:10]