写真●三菱電機エンジニアリングによる可視光多重通信システムのデモ
写真●三菱電機エンジニアリングによる可視光多重通信システムのデモ
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 2011年5月25日から27日まで、東京ビッグサイトで開催されている無線およびモバイル通信関連の展示会「ワイヤレスジャパン2011」。三菱電機エンジニアリングは同展示会場内のブースで、異なる波長(=色)の可視光を使った可視光多重通信システムのデモを実施している(写真)。

 可視光通信とは、その名の通り目に見える光である可視光を使ってデータを伝送する通信技術。無線通信で一般に使っている電波も可視光も同じ電磁波の仲間だが、建物外に漏れやすい電波を使った無線通信と異なり、可視光通信の場合は光が届く範囲を制御しやすいため秘匿性に優れるなどの特徴がある。

 展示中の可視光多重通信システムは、「赤」「緑」「青」の3色のLED照明を使って3種類の異なるデータを送信するというもの。上にあるランプからそれぞれの色の光を送ると、下に置かれた受信機のうち、対応する色の受光素子を備えた受信機のみがデータを受信でき、音声ガイドが再生される。データ伝送速度については、200kビット/秒前後出ていると説明していた。

 同社によれば、例えば美術館などで、ユーザーの手元の端末に展示物の説明用データをそれぞれ異なる国の言語で配信するといった使い方ができるという。こうしたスポットエリア向けのデータ配信のほか、病院内などにおけるLEDタグを使った位置情報収集システムや店舗などでの電子広告のリアルタイム配信&更新システムなどへの応用が考えられるとしている。

 なお、取材時は赤色の光のみを使ってデータを送信していたが、仕組み上は同時に3色を使ってそれぞれの受信機に異なるデータを届けることももちろん可能だ(その場合は各色の強度にもよるが白い光となる)。また、デモでは分かりやすいように明確に色が異なる3色を使っていたが、原理的にはさらに多くの色を使って多重通信をすることも可能だという。ただし、干渉による影響を受けるのであまり近い色(周波数)は使えない。