総務省の情報通信審議会 電気通信事業政策部会 ブロードバンド普及促進のための競争政策委員会は2011年5月24日、第1回会合を開催した(こちらに関連記事)。総務省が2010年12月に取りまとめた「『光の道』構想実現に向けた工程表」を受けて、2015年頃をめどとした全世帯でのブロードバンド利用実現に向けた事業者間競争の活性化に必要な取り組みについて議論する。

 このうち固定通信網に関しては、(1)線路敷設基盤の開放による設備競争の促進、(2)NGNのオープン化によるサービス競争の促進、(3)今後の市場環境の変化などを踏まえた公正競争環境の検証・担保の在り方――などをテーマとして検討する。NGNについては「もともと今年度に制度を見直す予定だった。前回検討時はサービス開始直後だったが、今は提供エリアも広がり状況が変わっており、改めて検討する。光ファイバーと一体提供されていることから、競争事業者からは使いにくいという意見がある」と事務局が背景を説明した。

 委員の議論では、「加入光ファイバーの1分岐貸しについても議論する必要があるのか」という質問があったが、これについては事務局は「(1分岐貸しは)情報通信行政・郵政行政審議会で2011年3月に一度結論が出ているので、ここではNGNや光ファイバーというネットワークの中でどういう形で競争環境を実現するのかという大きな考え方を整理して欲しい」と答えた。

 委員会では、2011年3月~4月にかけて実施した提案募集に意見を提出した事業者を主な対象としたヒアリングを実施する。6月14日の第1回ヒアリングでは、移動系の通信事業者を中心にNTTドコモとソフトバンク、イー・アクセス、日本通信、ミクシィ、融合研究所がプレゼンテーションを行う。6月21日の第2回ヒアリングでは、固定系の通信事業者を中心にNTT東西地域会社とKDDI、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコム、テレコムサービス協会がプレゼンテーションを行う。

 2回の事業者ヒアリングを実施した後、自由討議や論点整理を経て、2011年内に答申をまとめる方針である。総務省が5月24日に開催した「電話網移行円滑化委員会」では、電話網からIP網への円滑な移行の在り方についての議論を進めている。この場での議論の内容は事業者の競争政策とも密接に関係することから、両委員会はお互いの検討内容を参照しながら議論を進める方針である。