写真●IPAが公開した日本語TrueTypeフォント「IPAmj明朝フォント」(検証版)に含まれる異体字の例 斉藤の「斉」の字の異体字が30種類も収録されている。
写真●IPAが公開した日本語TrueTypeフォント「IPAmj明朝フォント」(検証版)に含まれる異体字の例 斉藤の「斉」の字の異体字が30種類も収録されている。
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 情報処理推進機構(IPA)は2011年5月18日、約6万文字に上る膨大な数の漢字を収録した日本語TrueTypeフォント「IPAmj明朝フォント」および同フォントに収録した文字の一覧表「文字情報基盤文字情報一覧表」(ともに検証版)を公開したことを発表した。

 同フォントは、IPAが運営するオープンソース情報データベース「OSS iPedia」の特設Webページから無償でダウンロードできる。フォントサイズは29.6Mバイトで、独自の「IPAフォントライセンス v.1.0」に基づき提供される。

 住民基本台帳ネットワークシステム統一文字および戸籍統一文字に含まれる約6万文字の漢字を、既存のIPAex明朝フォントのデザインポリシーに基づいて作字し同フォントに収録した。例えば、「斉藤」の「斉」という漢字には数多くの異体字があり、同フォントでは30種類もの異体字を表示可能となっている(写真)。

 同時に公開した文字情報基盤文字情報一覧表には、フォントに含まれる文字に関する文字図形情報や文字コード情報、画数など、文字の基本的情報を掲載。収録文字数が膨大なため、61分冊となっている。こちらは、クリエイティブ・コモンズ(CC)の「表示-継承 2.1」(CC BY-SA 2.1)ライセンスの下で公開されている。

 IPAでは、同フォントおよび文字情報一覧表を使うメリットとして、(1)従来JIS規格などに収録されておらず、コンピュータによる利用が困難だった人名漢字の異体字などの漢字についても「見える化」を図ることができる、(2)異なるコンピュータシステム間での文字情報のやりとりが容易になる――などを挙げている。

 なお、同フォントおよび文字情報一覧表は、あくまでも検証版という位置付けである。そのため、「以後のバージョンにおいて、字形などが随時大きく変更される可能性がある」(IPA)としており、その点には注意が必要である。

■変更履歴
当初「文字情報基盤文字一覧表」との呼称でしたが、その後「文字情報基盤文字情報一覧表」に変更されました。それに合わせて変更しました。本文は修正済みです。 [2011/05/19 12:10]