会見の模様
会見の模様
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 NTTドコモは2011年5月18日、ソフトバンクモバイル(SBM)の2010年度の携帯接続料について、総務省 電気通信事業紛争処理委員会へあっせんの申請を行ったと発表した。携帯接続料とは、自社ネットワークへの着信に対して他の固定・携帯電話事業者から徴収する料金である。あっせんにより、SBMに対してが2010年度携帯接続料を算定した際に使った項目や金額などの情報を開示することを求めている。

 同日会見を開いたNTTドコモは、2010年度の接続料を計算したところ、SBMに対して150億円の支払い超過になっていることを報告した。あっせんによって情報が開示されて仮にSBMの携帯接続料が値下がりした場合、「値下げ分を原資として、ユーザー料金の値下げといった形で還元する」(NTTドコモ 企画調整室長 古川浩司氏)という。今回のあっせんでは、あくまでNTTドコモは情報の開示を求めているだけだが、同社は算定根拠となる情報が開示されればSBMの携帯接続料の妥当性が検証でき、現在よりも低い数字になるとみているようだ。

 古川氏は、SBMの携帯接続料の値下げが「当社だけでなく、KDDIやイー・アクセス、固定通信事業者などにも影響がある。携帯接続料は相対の協議で決まるものだが、特定の事業者を不当に差別してはいけないという決まりもあるためだ」という考えを示した。金額は分からないとしながらも、「当社だけで150億円の超過額であるから、各社を合わせるとそれよりも大きくなるのでは」とした。

 会見では、SBMが携帯接続料を値下げできると考える二つの試算を示した。試算1は総務省が示した携帯発着総通話時間15.4兆秒からNTTドコモやKDDI、イーモバイルなど各社の総通話時間11.6兆秒を差し引いた3.8兆秒や、SBMが公表している営業費や音声伝送役務費用などを組み合わせて、総務省が2010年3月29日に定めた「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」で定める式に代入して算定した。試算2はSBMが公表している固定資産額から、NTTドコモの比率で音声伝送役務の固定資産額を推定するなどして算定したものである。

 その結果によると、NTTドコモが1分5.22円に設定しているのに対し、試算1では1分5.6円(1.07倍)、試算2では1分5.1円(0.98倍)となった。2010年度にSBMが示した携帯接続料は1分7.62円になり、NTTドコモの1.46倍になる。「同様の計算をKDDIに当てはめると、試算1、2ともにKDDIが開示した携帯接続料と1~4%の差であり、ほとんど乖離がなかった」(古川氏)という。

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