IMAGICAは2011年5月16日、1953年に制作された名作映画「地獄門」と、「東京物語」のデジタルリマスター作業を行ったと発表した。

 地獄門では、3色分解で保存されたフィルムから復元作業を行った。フィルムをスキャンしてデジタルデータに変換し、パラやキズをデジタル上で消去した後、当時の色味を再現するカラーグレーディング作業を経て仕上げていった。

 3色分解されたフィルムは、経年劣化で収縮する現象を起こしており、フィルムの収縮に合わせてスキャンと合成作業を行う必要があったという。IMAGICAのスタッフが、自社開発のスキャナー「IMAGER XE」に手作業で微調整を施し、フィルムの収縮に合わせてスキャン作業を行った。また、この作品では、3色分解フィルムの合成作業を行った。この結果、レジずれ(微細な位置のずれ)のない鮮明なカラー映像を復元できたという。

 東京物語では、現存する複製素材の中から厳選したデュープ・ネガが、激しく劣化していたという。スキャンに最適な状態のマスターポジを作成するため、グループ会社のIMAGICAウェストと連携し、壊れたパーフォレーションの修復やスプライスの補強、ビネガーシンドロームと呼ばれる縮みなどの劣化現象の修復を行った。また、画の揺れや歪みについて、アーカイビング作業で協業しているRelianceMediaWorks社の自動補正技術を活用して復元作業に短期間で対応した。この結果、美しい映像を再現できたという。

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