写真●NTTドコモの山田隆持社長
写真●NTTドコモの山田隆持社長
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 NTTドコモは2011年5月16日に、夏モデル端末を発表した。この発表では、同社の端末発表で史上最多となるスマートフォン9機種を一気に投入(関連記事)。春モデルとして発売したスマートフォンおよびタブレットの3機種を加えると合計12機種となり、今回発表したiモード端末12機種と肩を並べる。発表会場で記者団の囲み取材に答えたNTTドコモの山田隆持社長(写真)に、スマートフォンへ大きく舵を切る同社の戦略について聞いた。

今回一気にスマートフォン9機種をラインアップした。

 スマートフォンはこれからの携帯を引っ張っていく大きな存在。スマートフォンのラインアップをしっかりそろえることで、ユーザーにはたくさん買ってもらいたい。春モデルと合わせると、iモード端末とスマートフォンは12機種ずつで同じ割合になる。冬モデルではそれが逆転し、スマートフォンのほうが多くなる。今年度の端末総販売台数は1980万台を目指し、そのうちスマートフォンは600万台を販売する計画だ(関連記事)。途中、上方修正する可能性もあるが、その都度発表していきたい。

 なお冬モデルでは、「STYLE」や「PRIME」、「SMART」などライフスタイルによって分けたシリーズを見直し、スマートフォンも含めた分類にしていきたい。機能の高いスマートフォン、使いやすいスマートフォンといった分類などを検討している。

今回発表したスマートフォンのうち7機種は、音声端末のスマートフォンとして初めてテザリングを可能にした。

 テザリングはこれからもぜひ入れていきたい。テザリングを可能にすることで、モバイルルーターとスマートフォンの2台の端末を持たなくてよくなり、使い勝手の部分でメリットがある。一方でモバイルルーターとスマートフォンを持つ場合は、2回線を使うため通信が混み合わないメリットがある。つまり、簡単に利用したいユーザーはテザリング、専門的に利用したいユーザーはモバイルルーターという棲み分けになっていくのではないか。

 テザリングによってネットワークが逼迫する懸念もあるが、トラフィックが増えることを考慮してネットワークを作っている。そのためのツールとしてLTEを積極的に進めている。

テザリングを利用した場合の料金が高いという声がある。

 テザリングを利用した場合の、パケット上限額は税抜きで月額9900円(パケ・ホーダイ ダブルの場合)。スマートフォンだけの通信におけるパケット上限額は税抜きで月額5700円(パケ・ホーダイ ダブルの場合)であるため、スマートフォンを2回線契約するよりもテザリングをしたほうが実は安い。ただ料金については、今後ユーザーの声を聞きながらいろいろ検討していきたい。

スマートフォンが急拡大しているが、Androidはウイルスなどセキュリティのリスクも高いとも言われる。携帯電話事業者として、どんなセキュリティの取り組みを進めていくのか。

 業界関係者の間でスマートフォンに関するセキュリティフォーラムが発足し(関連記事)、NTTドコモも2月から参加している。スマートフォンもパソコンの一種だ。様々な企業と横の連携を取りながら、ドコモとしてセキュリティの取り組みを強化していきたい。

 法人関係で一番心配されるのが紛失対策だ。ドコモとしては4月に「スマートフォン遠隔制御サービス」の提供を開始し(関連記事)、スマートフォンやタブレットで遠隔からのロックやデータ削除が可能となった。

スマートフォンでは、ユーザーが意図せずして自動で通信が発生するケースがある。先日、ソフトバンクモバイルはiPhoneの二段階定額プランについて、不適切な広告表示があったとして総務省から行政指導を受けた(関連記事)。ドコモも同じような事象が起きているのか。

 ドコモのスマートフォンでも同じような現象が起こる。そこはユーザーにきちんと説明し、まずは定額制プランに入ることを勧めている。特にアプリケーションをたくさん使うユーザーについては、二段階定額プランではなく、フルの定額プランを勧めている。このような取り組みによって、ユーザーに対してきちんとした説明責任を果たしていると考えている。

今回発表した端末はSIMロック解除の対象となる。SIMロック解除の直近の状況は。

 現時点で解除の対象端末は「らくらくフォンベーシック3」とXiのデータカード「F-06C」のみであり、これまでで実際にSIMロック解除に来たのはまだ20人程度。SIMロック解除の確認がメインのようだ。ちなみにマイクロSIMカードは現時点で2000枚くらいが出ている。SIMロック解除の動向は、多くの端末が対象となった夏モデルを見てからだろう。