米Yahoo!と中国Alibaba Group(阿里巴巴)はそれぞれ現地時間2011年5月15日、Alibaba傘下の決済サービスAlipayの所有権移転を巡る問題について声明を発表した。Alibabaと、同社の大株主であるYahoo!およびソフトバンクは、「問題解決に向けて、できる限り早急に株主に利益をもたらす方法で生産的な交渉に入っている」としている。Yahoo!はAlibabaの株式の43%を、ソフトバンクは33%を所有している。

 Yahoo!は5月12日、Alibabaが株主や取締役会の承認を得ずにAlipayの所有権をAlibaba設立者兼最高経営責任者(CEO)のJack Ma氏が運営する外部企業に移転していたことを明かした。Yahoo!とソフトバンクは、Alipayの所有権が2010年8月に移され、Alipayが2011年第1四半期の連結決済から外されたことを今年3月31日に知らされたという。Yahoo!はこの件について報告する書類を5月10日に米証券取引委員会(SEC)に提出している。

 しかしAlibabaは5月13日に反論の声明を発表し、2009年7月の取締役会ですでに報告していると主張した。Alibabaの取締役会にはYahoo!から4人の代表者が参加している。AlibabaはAlipay所有権の移転について「引き続きAlipayを運営する許可を取得するために、オンライン決済事業に関する中国の新法に則った措置」と説明。「Alibaba経営陣は、Alipayの運営継続が株主にとって最良の道だと判断した」と述べている。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、協議中のAlibaba、Yahoo!、ソフトバンクの3社は、運営継続のために所有権を移転したことについては合意しているが、取締役会の承認や妥当な補償を伴っているかについては意見が異なっているという。Yahoo!の株価は5月10日から13日に約11%下落している。

 また、Yahoo!が事実を意図的に隠して4月19日に不正確な決算報告を行ったとの疑いから、所有権移転の報告を受けた正確な時期について調査が行われている。

[発表資料へ]