写真●カオスウェアとエヌアイディのモバイル向けの写真共有サービス「PhotoCipher」
写真●カオスウェアとエヌアイディのモバイル向けの写真共有サービス「PhotoCipher」
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 なりすましや偽造を確実に防ぎつつ、ブログやSNSなどで写真を公開するにはどうすればいいか---。東京ビッグサイトで2011年5月11日から13日まで開催されたIT分野の総合展示会「Japan IT Week 2011春」内の「第1回 スマートフォン&モバイル EXPO」の会場内では、その一つの解といえるサービスが展示されていた。カオスウェアとエヌアイディが開発および提供している「PhotoCipher」というモバイル向けの写真共有サービスである(写真)。

 最近では、携帯電話やスマートフォンから写真をアップロードして、ブログやSNSなどで公開するという行為が日常的に行われるようになっている。しかし、そこで時折浮上するのが「アップされた写真は、本当に該当するユーザーがその時刻にその場所で撮影したものなのか」という課題である。例えば「東日本大震災による友人宅の被害状況です」と倒壊した家屋の写真を見せられても、真贋(がん)を鑑定することは難しい。

 そうしたなりすましや偽造を防ぐにはどうすればいいか。答えは簡単、第三者がユーザーを認証しつつ、ユーザーが手出しできない形で位置情報や時刻情報を写真に付与して投稿する仕組みを作ればよい。PhotoCipherは、まさにこうした仕組みを実装したサービスとなっている。

GPS情報&タイムスタンプで偽造を防止

 同サービスのユーザーは、携帯電話機やスマートフォンで写真を撮影した後、専用アプリを使ってPhotoCipherのサーバーに写真をアップロードする。この際ユーザー認証が行われ、画像データはSSL経由で安全にサーバーに送信される。サーバーでは受け取った写真データに暗号化を施してユーザーごとのフォルダに格納する。

 送信する写真データには、端末が持つGPS情報が自動的に付加される。また、サーバー側では受け取った写真データにNICT(情報通信研究機構)が提供する日本標準時と同期したタイムスタンプを埋め込むようになっている。これらはユーザーが改ざんするのはまず不可能なため、写真を撮影した場所と時刻を確実に第三者に対して証明できるわけだ。

 ユーザーは、ユーザーごとに用意された「共有フォルダ」に写真を保存することで、同サービスのWebページ上で他人に対して写真を公開できる。その際、TwitterやFacebookにも写真を投稿したことを同時に通知できるようになっている(写真参照)。写真を公開したくない場合は「プライベートフォルダ」に保存すればよい。

 サービスの利用料は、100Mバイトまでなら無料、それ以上の容量が必要な場合でも1Gバイト当たり月額105円とかなり安い。現状では対応する携帯電話機はNTTドコモ製、スマートフォンはAndroid端末のみとなっているが、サービス開発元のカオスウェアによれば、現在iPhone向けのアプリの提供も計画しているという。

 会場で説明に当たっていたカオスウェアの梅野健社長によれば、携帯電話などからわずか3ステップで被災現場の写真などをアップして報告作業ができるという手軽さが受け、東日本大震災でボランティアをしている組織などから多くの問い合わせを受けているという。同社では、そうした組織向けには有償版サービスを無償で提供していることもあわせて説明していた。