ソフトウエア権利保護団体のBusiness Software Alliance(BSA)は米国時間2011年5月12日、パソコン用ソフトウエアの不正使用状況に関する調査結果を発表した。それによると、2010年の違法コピー率は42%で、損害額は590億ドル近くにのぼった。昨年の損害額と比べ14%増加し、2003年からは約2倍拡大している。
違法コピーの増加は新興市場で特に著しい。新興市場における海賊版ソフトウエアの損害額は、2003年に世界全体の3分の1未満だったのに対し、2010年は約320億ドルと、全体の50%以上を占めた。また、2010年の新興市場におけるパソコン出荷台数は世界の50%以上であるのに対し、正規購入されたソフトウエアは全体の20%に満たない。
地域別に違法コピー率を見ると、中欧および東欧は64%で前年から横ばい。中南米は64%で前年から1ポイント拡大した。アジア太平洋地域は同1ポイント増の60%、中東およびアフリカは同1ポイント減の58%だった。西欧(33%)、北米(21%)は世界平均を下回った。
BSAは、多くのパソコンユーザーが知的財産権を重視しながらも、気付かないまま違法コピーを使用していると指摘する。ソフトウエアの海賊行為で最も一般的なのは正規ライセンスを1本購入して複数のパソコンにインストールすることだが、60%ものパソコンユーザーはこうした行為を家庭内では合法だと間違って解釈している。また47%が職場内で合法だと勘違いしていた。