You TubeのビデオをNFCを使ってNexus SからXOOMに移動しているところ
You TubeのビデオをNFCを使ってNexus SからXOOMに移動しているところ
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 米Google社は2011年5月10日、米国サンフランシスコで開催している開発者向け会議「Google I/O」において「How to NFC」と題したセッションを開催した。その中で、次期版Android「Ice Cream Sandwich」でのNFCの機能拡張について説明した。

 Ice Cream Sandwichでは2台のスマートフォンを近づけただけで再生中のコンテンツを交換できる「0-Click Sharing」をサポートするという。具体的には、一方のスマートフォンに表示されている電話帳やWebページ、YouTubeビデオをユーザーが操作することなく、互いのスマートフォンを近づけただけで他方に送付できる。講演では、NFCコントローラを外付けした米Motorola Mobility社のタブレット端末「XOOM」に、Google社の「Nexus S」を近づけ、Nexus Sで再生中のYou Tubeビデオの続きをXOOMで再生するというデモを見せた。0-Click SharingはNFCを使った双方向通信モードである「peer-to-peer」モードを利用している。

 勝手にコンテンツが移動するとなるとセキュリティーが気になるが、「AndroidのNFC機能は、表示画面が点いているときだけ動作するので、勝手にデータを抜き取られるといった問題はない」(Google社)という。ただし、どうしても第三者に読み取られたくないような情報の場合は、アプリケーション側で個別に暗号を施す必要があるとした。

 講演の最後には、スマートフォンをクレジットカードなど非接触ICカード代わりに使う「Card Emulation」モードについての見解を述べた。NFCにはpeer-to-peerモードの他、NFCのカードからデータを読み書きする「Reader/Writer」モード、Card Emulationモードの三つがあるが、Android 2.3ではCard Emulationモードだけサポートしていないからだ。

 Google社によると、「Card EmulationモードはIce Cream Sandwichでもサポートしないだろう」という。理由としては三つある。一つは非接触通信インタフェースを使ったカードの規格が複数あるのに対し、スマートフォンに実装する際には、それらの規格のうち、どれかを選ばなければならないことである。

 二つはセキュアな情報を格納する「セキュア・エレメント」のストレージ容量が小さく、開発者の間で取り合いが起こってしまうこと。そして最後が、セキュア・エレメントが物理的に壊れてしまった場合に、そのデータを復活できないことである。「決済を行う場合、peer to peerモードで実施するのが最もいい方法だと思う」(Google社)という。


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