ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の米国法人Sony Computer Entertainment America(SCEA)は、個人情報流出で一時停止しているオンラインサービスの再開が当初予定より遅れるとの見通しを、米国時間2011年5月6日に明らかにした。ソニーは5月1日の記者会見の際に、1週間以内に一部サービスの再開を目指すとしていたが、これを延期する。

 SCEAはその理由として、ネットワークインフラのセキュリティ強化に時間がかかっているためと説明している。現在、新たなシステムの内部テストを実施しており、外部団体とも協力してセキュリティ確保に取り組んでいるという。さらに包括的なシステムチェックとテストを完了したのち、サービスを再開する。

 SCEAは4月26日、オンラインサービス「PlayStation Network(PSN)」と「Qriocity」のネットワークが不正アクセスを受け、約7700万件のアカウント情報が流出した可能性を明らかにした。同社は、4月20日に異常に気付き、サービスを一時停止して調査を開始し、4月17日から4月19日にかけて違法な侵入があったことを確認した。ソニーは5月1日に記者会見を開き、ユーザーに謝罪するとともに事件の詳細な経緯を説明。その際、1週間以内に一部地域でサービスを再開し、5月末までに全面復旧するとの見通しを立てていた(関連記事:「既知のサーバー脆弱性が原因」、ソニーが個人情報漏えい問題で経緯を説明)。

 しかしその後、別のグループ会社でも攻撃があったことが発覚。米国法人Sony Online Entertainment(SOE)のシステムが4月16日から17日にかけて不正侵入を受け、約2460万件のSOEアカウントの個人情報などが流出した疑いがある(関連記事:ソニーのグループ企業にサイバー攻撃、2460万アカウントが流出の可能性)。

 SCEAは再開の遅れに関して、「5月1日の時点では、SOEにも攻撃が拡大していたことを認識していなかった。この機会に、当社の非常に複雑なシステムをよりいっそう厳重にテストする」と釈明した。

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