Intelは2011年5月4日、3次元構造を採用したトランジスターの量産技術が確立したことを発表した。22nmプロセスで製造する、PC向けの次期主力CPU「Ivy Bridge」(開発コード名)で採用する。

現行の32nmプロセス技術におけるプレーナー型トランジスター(左)と、新たに開発した22nmプロセスでの3次元トライゲートトランジスター(右)。Intelの資料より抜粋した(以下同じ)。
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 従来のプレーナー(平面)型トランジスターでは上面がゲートになっているのに対し、Intelの3次元トライゲートトランジスターは、シリコン基板に「フィン」を立てた構造になっており、フィンの上面と両側面の3面をゲートとして使う。現行の32nmプロセスのプレーナー型トランジスターに比べて、低電圧で最大37%の性能向上があるほか、同じ性能だと消費電力は半分になるという。

22nmプロセスの3次元トライゲートトランジスターの特徴としてIntelは、低い電圧でより高い性能が得られる点やスイッチングの特性が改善される点、製造コストの追加が2~3%と少ない点を挙げた。
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現行の技術で製造したトランジスターより、漏れ(リーク)電流を抑えられる。
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32nmのプレーナー型トランジスターに比べ、22nmの3次元トライゲートトランジスターは、低電圧で37%の性能向上が見込める。
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 Intelは発表会で、Ivy Bridgeを搭載したPCをデモ。3次元トライゲートトランジスターが単なる技術発表ではなく、CPUとして量産可能なレベルであることをアピールした。Intelは、Ivy Bridgeの量産開始を2011年後半に予定している。

IntelのPC向けCPUコアのロードマップ。22nmのIvy Bridgeは、現在の32nmプロセスで製造しているSandy Bridge(開発コード名)と同じマイクロアーキテクチャーだ。
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22nmプロセスは、PC向けCPUだけでなく携帯機器向けのAtomなどでも採用する。
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