写真1●位置情報活用アプリの実装を紹介する鳥人間の郷田まり子氏
写真1●位置情報活用アプリの実装を紹介する鳥人間の郷田まり子氏
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写真2●コードを交えながら実装方法を分かりやすく解説
写真2●コードを交えながら実装方法を分かりやすく解説
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写真3●測位以外の位置検出方法として「音」を利用するサービスを紹介
写真3●測位以外の位置検出方法として「音」を利用するサービスを紹介
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写真4●NFC(近距離無線通信)を使うサービスも紹介
写真4●NFC(近距離無線通信)を使うサービスも紹介
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 「スマートフォン2011春」の2011年4月28日の講演で、人工衛星の観望支援アプリ「ToriSat」の開発で知られる鳥人間の郷田まり子氏が登壇、位置情報アプリの実装方法を初心者・初級者向けに解説した(写真1)。

 講演の冒頭で、郷田氏は「位置情報アプリの現状」として位置情報を活用したサービスの例を紹介した。その後、実際のコードを見せながら実装方法を解説した(写真2)。

 位置情報アプリとしては、「foursquare」に代表されるチェックイン・アプリや、セカイカメラなどのセンサーベースAR(拡張現実)、「Color」のような場所に依存したSNSなどを紹介した。

 実装方法については、「カメラ上に透明のビューをオーバレイ」、「測位とセンサ値の取得を開始」、「加速度センサーと磁気センサーの値から、端末の姿勢を計算」、「対象物の位置を現在地の地表に固定した座標系に変換」、「端末に固定した座標系に変換」、「得られた座標にタグを表示」と、順を追って解説した。

 先行開発者ならではの細かな、それでいて重要なノウハウが伝えられた。例えば、測位については電波状態によってどうしても精度にばらつきが生じてしまう。電波状態の問題であるにもかかわらず、マーケットの評価に「アプリの出来が悪い」などと書かれてしまうことがあるため、電波状態によってばらつきがあることをあらかじめ記述すべきだとする。

 講演の終盤には、スマートフォンではなくパソコンを利用した位置情報サービスの実装についても解説した。HTML5の機能の一つで、Webブラウザからの位置情報利用インタフェースである「GeoLocation」を使うものだ。

 さらに、測位以外のユニークなアプローチも紹介された。その一つが、場所の情報を音により受信するというもの(写真3)。「shopkick」と呼ぶサービスでは、店内に可聴範囲外周波数の音に信号を埋め込んでおく。その音を受信することで所望のデータを受信させるというものである。

 もう一つが、NFC(近距離無線通信)タグの利用(写真4)。店頭でNFC端末をかざすことで店内に入ったことを判断、クーポン情報などを渡すというものである。郷田氏は講演後の質疑応答で、現在開発中のアプリがNFC関連であることを明かした。