住商情報システム(SCS)は2011年4月28日、11年3月期の通期決算を発表した。連結売上高は前年同期比4.3%増の1328億4000万円、営業利益は同10.2%増の70億7600万円だった。中井戸信英 会長兼社長は「下期のソフト開発の需要の回復により、予想通り増収増益を達成できた。東日本大震災の影響はほとんど受けていない」と説明した。

 一方で今期については、「見通しは不透明」(中井戸会長兼社長)として、5月中旬に予定していたCSKとの経営統合に関する説明会の開催を秋に延期するとした。中井戸会長兼社長は、「予定通り10月1日に統合する。だが統合計画は責任を持って作りたいと考えているため、経済の見通しが立った時点で発表したい」と話した。

 11年3月期の増収増益に寄与したのは「流通業や金融業向けのソリューション」と福永哲弥取締役常務執行役員は説明する。業務系ソリューションの売上高は前年同期比10.4%増の688億円だった。「製造業向けは上期の売り上げが落ちたものの、下期で回復した」(福永常務)という。

 12年3月期の予想はSCS単体で、売上高が11年3月期比0.9%増の1340億円、営業利益が同8.8%増の77億円とした。「東日本大震災の影響は軽微であると予想した結果。ただし原発の問題や節電などの影響で、今期の状況は本当のところは見えていない」と中井戸会長兼社長は説明する。

 SCSは12年3月期の注力分野として、(1)グローバルビジネス推進、(2)アカウントプラン&ベンダープラン、(3)クラウドビジネス推進、の三つを挙げた。(1)はグローバルビジネス事業からの売上高を10%に引き上げる。11年3月期は「6~7%程度だった」(中井戸会長兼社長)。4月1日付で全社タスクフォースを設置し、グローバル人材育成のためのファンドを創設した。(2)は重要な取引先ごとに担当の役員などを配置し、「顧客企業と戦略や問題点を共有できる体制を強化する」(同)という。

 (3)については、「東日本大震災をきっかけにしたBCP(事業継続計画)の見直しの需要を取り込んでいきたい」と中井戸会長兼社長は強調した。特に関西方面のデータセンターの需要が急増していることから、「CSKを含めて関西のデータセンターに投資していく」と中井戸会長兼社長は話す。SCSが大阪府に、CSKが兵庫県にデータセンターを所有している。