情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)は2011年4月27日、「経営に活かすIT投資の最適化」と題した無償の読本をホームページ上で公開した。システム要件のうち機能要件以外の要件すべてを指す、性能や信頼性といった「非機能要件」の重要性をユーザー企業にわかりやすく伝えることを狙った。

 読本ではまず、自動車の購入者とディーラーの会話を通して、非機能要件のイメージをつかませる。その後ネットサービス企業のトラブル事例から非機能要件を決めることの重要性を伝えている。その後、非機能要件を六つのカテゴリに分けて解説。非機能要件の検討時には「事業コンセプトに一致させる」「トレードオフを見極める」「定期的に見直す」の三つが欠かせないといったコラムも掲載する。

 この読本を作成したのはSECの「非機能要求グレードWG(ワーキンググループ)」である。同WGは昨年4月、システム基盤の非機能要件を決めるためのツール群「非機能要求グレード」を公開。今回の読本作成は非機能要求グレードの普及活動の一環である。同WGは今後、検討の対象をシステム基盤からアプリケーションやサービスのレイヤーに引き上げ、システムの操作性やクラウドサービスにおける非機能要件の定義・検討を進めていくという。