「ネットのトラフィックは10年ごとに大きく変化してきた。次に来るのは何だろうか」――。2011年4月26日から28日に開催しているスマートフォンの総合カンファレンス「スマートフォン2011春」(主催:日経BP社)で4月26日、MOVIDA JAPAN代表取締役の孫泰蔵氏が講演に立ち、来場者にこう問いかけた。孫泰蔵氏は、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏の弟である。

 孫氏は、これまでのネットの歴史を振り返り、米ヤフーに代表される「ポータル時代」、米グーグルが台頭した「検索時代」、そして米フェイスブックや米ツイッターによる「ソーシャル時代」に区分、それぞれ新しいトラフィックの流れが生まれたとする。

 孫氏は「今後も新しい何かが生まれるだろうが、まだそれが何かは分からない」としながらも、一つの見解を示した。それは、スマートフォンが収集したデータに基づいた「アクティビティ(行動)によるソーシャルネットワーク化」である。代表例が、グルメやジョギングなどの趣味でつながるネットワークである。「スマートフォンは、“アクティビティ・ロガー(行動を記録するもの)”になる」というのが、孫氏の予測になる。

 講演では、孫氏のビジネスの展望が紹介された。MOVIDA JAPANの主業務は、ベンチャー企業への投資とインキュベーション(育成)であり、「500社のベンチャー支援、5万人の雇用、5億人を楽しませる」といった同氏の“20年構想”に基づき事業拡大を図っている。「アジアに、(技術者と経営者、投資家が集積する)シリコンバレーのような環境を作りたい」という同氏は、北米のベンチャーキャピタルと組んで、ベンチャー企業のアジア展開を援助するという。

 アジアで3G(第3世代携帯電話)サービスやスマートフォンが広がり始めた現在は、スマートフォン関係者にとって「新しい事業のチャンス」として起業を鼓舞した。