写真1●端末利用時に、非接触型ICカードで個人を認証
写真1●端末利用時に、非接触型ICカードで個人を認証
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写真2●複合機などで個人を認証すると、出力先が特定され印刷が始まる
写真2●複合機などで個人を認証すると、出力先が特定され印刷が始まる
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 NECは21日、文書編集から印刷までの作業をクラウドコンピューティング上で進められるサービス「C&Cクラウド・ワークスタイル」を試作したと発表した。ITを活用して場所の制約を受けずに仕事ができる「テレワーク」向けのサービスを想定。試験サービスをへて、年内に商用化する計画だ。

 様々なプリンターや複合機のドライバーソフトウエアを集めてクラウド上で稼働させることで、出力先の機種を気にせず文書を印刷できるようにしたことが特徴。企業の各種拠点に置かれた印刷機器のほか、対応する印刷機器をホテルや公共施設などに広く置いてもらえば、場所を問わず文書印刷が可能になるという。

 特定機種に出力するクラウド・プリンティング・サービスは複数のITベンダーが提供するが、機種を問わないものは「おそらく世界初」(NEC)という。

 システムは、パソコンの仮想デスクトップ環境を提供するため、NECの仮想PC型シンクライアント用ソフト「Virtual PC Center」をクラウド上で稼働。Android搭載端末やシンクライアント端末などで文書編集ができる。

 印刷は、外出先などから出力先を明示せずに指示できる。実際に印刷機器のある場所に立ち寄って利用者を認証すると、クラウドからデータをダウンロードして印刷を始める仕組み(写真1写真2)。

 当初の対応機器は、まず企業での普及が進み日本メーカーのシェアが比較的高い複合機を想定。まず主要4~5社からドライバーソフトの提供を受ける見通し。商用化までにメーカーや対応機種の充実を図るという。

 文書編集、印刷ともに、非接触型ICカードで利用者を認証する仕組みを導入し、端末や印刷機器の不正利用を防ぐ。通信回線も、インターネットではなくVPN(仮想私設網)サービスを利用。セキュリティを確保することで、法人需要を開拓する考えだ。端末と印刷機器共に、アクセス回線はUQコミュニケーションズが運営する高速無線通信のWiMAX回線を採用する。