米AT&Tは米国時間2011年4月21日、同社の米T-Mobile USA買収計画について米連邦通信委員会(FCC)に承認を申請するとともに、同買収が米国無線市場にもたらすメリットを説き、市場競争を損なうことはないと主張した。

 AT&Tは3月20日、同社がT-Mobile USAを約390億ドルで買収することでT-Mobile USAの親会社であるドイツDeutsche Telekomと最終合意に達したと発表した(関連記事:AT&TがT-Mobile USAを約390億ドルで買収へ、米国民95%にLTE提供を目指す)。これに対して米Sprint Nextelが強く異議を唱え、買収を阻止するよう米政府に求める声明を3月28日に発表。また米ニューヨーク(NY)州が調査に乗り出すことを3月29日に明らかにした(関連記事:NY州がAT&TによるT-Mobile USA買収計画を調査へ、反競争的影響を懸念)。

 AT&TはT-Mobile USA買収により、特にLTE(Long Term Evolution)ネットワーク導入促進に注力する意向で、米国人口の97.3%にLTEへのアクセスを提供できるとしている。3月の発表当初は「95%」としていたが、「より厳密に分析した結果、対象範囲が拡大した」という。

 AT&TはFCCへの提出書類の中で、同買収計画が、都市、郊外、地方に対して機能的に同等な無線帯域を提供し、米国民すべてがデジタル世代に移行できるようにするという米政府の公約を支援するものになると主張。地方や小規模自治体における新規雇用と経済成長をうみだすと述べた。

 また、米国民の約4分の3が5社以上のモバイルサービスが競合する地域に居住しているとのFCCの昨年の調査結果に触れ、「米国無線市場の競争はし烈だ。競合会社は成長と投資を急速に拡大しており、当社がT-Mobile USAを買収したあとも、市場の活発な競争は確実に維持される」と強調している。

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