写真1●GoogleドキュメントとMicrosoft Officeを同期する「Google Cloud Connect for Microsoft Office」
写真1●GoogleドキュメントとMicrosoft Officeを同期する「Google Cloud Connect for Microsoft Office」
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写真2●Android端末管理機能「My Devices」
写真2●Android端末管理機能「My Devices」
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写真3●Google Appsの利用状況を紹介するトップツアー 脇坂克也 旅行営業本部営業企画部部長
写真3●Google Appsの利用状況を紹介するトップツアー 脇坂克也 旅行営業本部営業企画部部長
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 グーグルは2011年4月21日、企業向けのクラウドアプリケーション群「Google Apps」について、直近の機能強化の内容やユーザー企業における利用動向に関する説明会を開いた。同社が最近特に充実を図っているのが、コラボレーション機能とスマートフォン向けの機能だ。説明会では、これらについて最新の強化点を説明。あわせてユーザー企業であるトップツアーの担当者が、自社における利用状況を紹介した。

 コラボレーション機能の一例としてグーグルが挙げたのが「Google Cloud Connect for Microsoft Office」だ。Google Appsが備える文書作成・共有サービス「Googleドキュメント」とマイクロソフトの「Microsoft Office(MS Office)」との間で、同一の文書を共同編集できる機能である。

 利用者はまず、Cloud Connect用の機能拡張モジュールを、Officeにインストールする。その後、共同編集する相手を選択すると(写真1)、Office文書に実施した編集内容が、Googleドキュメント上の文書にも自動的に反映される。「Googleドキュメントの開発目標は、デスクトップとクラウドの間でデータを容易に連携・統合できるようにすることと、高度な協同作業を実現することだ。単にワープロをWebブラウザーに乗せただけでなく、ワークスタイルを大きく変えることができると考えている」(藤井彰人 エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャー)。

 スマートフォン向けの機能については、「My Devices」を紹介した。利用者個人向けの、簡易な端末管理機能である。利用者はGoogle Apps内の専用Webページから、管理用ページにログインする。端末を紛失した場合などに、Webブラウザー上から端末の音を鳴らしたり、第三者の悪用を防ぐために端末を一時的にロックしたりといった操作を、管理用ページから実行できる(写真2)。「管理者向けにもデータの遠隔消去などの一元管理機能を提供しているが、利用者個人にもある程度の管理機能と組み合わせることで、管理者の負担を軽減できる」(阿部伸一 エンタープライズ部門 マネージング ディレクター)。

 利用企業としては、旅行代理店大手のトップツアーが登壇した。同社は全従業員約1800人でGoogle Appsを利用すると同時に、約1000人の営業担当者にAndroid端末を配布。2010年4月から利用を開始している。

 「当社は営業担当者の一人ひとりを、『動く店舗』にしようとしている。この目標実現に向けて導入したのが、Google Appsだ」。同社の脇坂克也 旅行営業本部営業企画部部長は、導入の狙いをこう語る(写真3)。同社によれば、旅行業の企業の売上高営業利益率は、平均で0.4%程度にとどまる。同水準にあるトップツアーは、これを1%に高めるという経営目標を掲げている。「営業担当者の業務効率を高めて、収益力アップにつなげることは、長年の課題だった」(同)。

 Google AppsとAndroid端末を併用することで、営業担当者の時間を節約する効果を実感しているという。「メールを確認したり報告書を書いたりするために、会社のオフィスに戻らなくてもよくなった」(同)。無駄な時間の節約や商談に費やせる時間の増加などにより、1億円程度の増益効果があると見込んでいる。今後は効果をより厳密に検証するとともに、動画共有など他の機能も活用していくという。