米アマゾン・ウェブ・サービシズのクラウドサービスで2011年4月21日、仮想マシン貸しサービス「Amazon EC2」など複数のサービスが利用できなくなる障害が発生した。障害は同社の米国東海岸データセンターで発生し、日本時間午後9時現在、全面復旧はしていない。EC2を利用する同社や他社のサービスに影響が出た。

 今回の障害によって、同社米国東海岸データセンター(US-EAST)で運用するEC2の仮想マシンに接続できなくなったり、EC2仮想マシン用の外付けストレージサービス「Amazon Elastic Block Storage(EBS)」の遅延が大きくなったりした。また、同社のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「AWS Elastic Beanstalk」や、リレーショナル・データベース・サービスの「Amazon Relational Database Service(RDS)」も利用できなくなった。Elastic BeanstalkやRDSは、EC2やEBSを内部で利用している。

 今回の障害は、EC2の二つの「Availability Zone(AZ)」で同時に発生した。AZはEC2におけるデータセンターの区画単位で、それぞれ電源供給やネットワークの系統が異なっている。EC2のユーザーは、複数のAZで仮想マシンを稼働し、それぞれをクラスタリングすることで、データセンターの物理障害などに対応できることになっている。しかし今回は、二つのAZで同時に障害が発生しており、障害の深刻度は高い。

 EC2の仮想マシン障害は米国太平洋夏時間の21日午前0時55分(日本時間午後4時55分)に発生し、同午前2時55分(日本時間午後7時55分)まで続いた。EBSやRDS、Elastic Beanstalkの障害は、同午前5時3分(日本時間午後9時3分)現在でまだ続いている。

 EC2などに障害が発生したことから、インフラにEC2を利用する様々なWebサイト/アプリケーションが利用不可能になった。TISの社内ベンチャーカンパニーであるソニックガーデンが運営する業務用ミニブログサービス「youRoom」も、EC2の障害の影響で、日本時間で午後6時20分から午後7時50分頃まで利用できなくなった。複数台利用するEC2仮想マシンのうち1台で、ストレージであるEBSが利用できなくなったという。

 ソニックガーデンはyouRoom以外にも、業務用SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「SKIP」をEC2の米国東海岸データセンターで運用している。今回の障害では、SKIPには影響は出なかったとしている。