LG Electronicsのモニターマーケーティングチーム長マイケル・ジョン常務。
LG Electronicsのモニターマーケーティングチーム長マイケル・ジョン常務。
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偏光方式を採用した23型の3Dディスプレイ「D2342P-PN」。
偏光方式を採用した23型の3Dディスプレイ「D2342P-PN」。
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 LG エレクトロニクス・ジャパンは2011年4月下旬、偏光方式を採用した23型の3Dディスプレイ「D2342P-PN」を発売する。実勢価格は2万9800円。製品発表会には韓国LG Electronicsのモニターマーケーティングチーム長マイケル・ジョン常務も来日。3Dディスプレイを含めた今後の製品展開や市場動向について聞いた。

■新製品の特徴は?

マイケル・ジョン氏:従来製品の3D表示はシャッターグラス方式だったが、新製品では偏光方式を採用した。3D表示用のメガネを軽量化でき、ちらつきが無いため目にかかる負担を軽減できるといった利点がある。メガネと3D表示用のソフトウエアが付属して3万円を切る価格も売りだ。

■今後投入する3Dディスプレイは全て偏光方式になるのか?

マイケル・ジョン氏:そうだ。アメリカ、イタリア、ロシア、韓国、ドイツの5カ国で消費者に対して実施したテストの結果では、7割がシャッターグラス方式よりも偏光方式の3Dディスプレイを好んだ。今後は偏光方式の3Dディスプレイや3Dテレビが主流になるだろう。

■3Dディスプレイの割合はどのくらいまで増やすのか?

マイケル・ジョン氏:世界市場では、テレビも含めて2年位をめどに製品ラインアップの50%を3Dに切り替えるつもりだ。3Dディスプレイでは今年の6月に21.5型、7~8月には25型と27型の製品の追加を予定している。D2342P-PNはTN方式のパネルを採用しているが、早い内にIPSパネルで偏光方式を採用した3Dディスプレイも投入する。

■3D分野で開発中の機能はあるか?

マイケル・ジョン氏:D2342P-PNでは2Dの静止画、動画、ゲームをソフトウエアの処理で3Dに変換しているが、全てのコンテンツをハードウエアで変換できるディスプレイやテレビを、今年中には世界市場に向けて出荷できるよう開発を進めている。具体的な時期は言えないが、裸眼で3Dを表示できる製品も開発中でなるべく早く出荷したいと考えている。

■国内の小売りにおけるシェアは?

マイケル・ジョン氏:調査会社のGfK Japanのデータでは、2010年に消費者向け市場で22%のシェアを獲得し1位になった。

■LG製品で売れ筋のモデルはどれか?

マイケル・ジョン氏:1万円台半ばと安価な「W2261VG」「W2361VG」など、光沢タイプの液晶パネルを使った製品が人気で全体の2~3割を占める。続けてIPSパネルを採用した「IPS226V」「IPS236V」などが2割を占める。

■現在のディスプレイ市場で求められているものは何か?

マイケル・ジョン氏:最も重要なのは画質だ。これは高解像度や、自然に近いイメージの色彩が求められる。使い勝手やデザイン性も重視している。デザイン性は薄さや狭額縁などを意味する。現在、自社で最も薄い製品は厚さが7.2mmになる。消費者の需要や製造費用を考えると1cm前後ならば薄型といえるだろう。

■画質や品質について今後どのような点を注力していくのか?

マイケル・ジョン氏:1つめは視野角の改善だ。左右上下の広さや、離れた場所からでも問題無いようにする。画面のぶれも改善していく。3D表示における深度調整機能も開発を進めている。

■現在のLGに足りないと考えるものは何か?

マイケル・ジョン氏:2010年にシェア1位となったが、常に首位だったわけではなく確実な地位は築いていない。今後の課題の1つはブランド力の向上だ。これは携帯機器やテレビなどと連携して高めていく。もう1つの課題は流通販路で、こちらも販路を拡大していかなければならない。