IE10のプラットフォームプレビュー版を動かして見せた次期Windows。見た目はまだWindows 7と変わらないが、システム構成を見ると「ARM family 7 Model CO9 Revision100 1.00GHz」と表示されており、ARMを搭載したマシンで動いていることが分かる(米マイクロソフトが公開している動画より引用)
IE10のプラットフォームプレビュー版を動かして見せた次期Windows。見た目はまだWindows 7と変わらないが、システム構成を見ると「ARM family 7 Model CO9 Revision100 1.00GHz」と表示されており、ARMを搭載したマシンで動いていることが分かる(米マイクロソフトが公開している動画より引用)
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 米マイクロソフトは2011年4月12日(米国時間)、米ラスベガスで開幕したWeb開発者向け会議「MIX11」において、Webブラウザーの次期版「Internet Explorer 10(IE10)」を発表した。また同日、IEに関する開発者向けデモサイト「Internet Explorer Test Drive」で、IE10の最初のプラットフォームプレビュー版(Platform Preview 1)を公開した(関連記事)。

 IE10は、2011年3月14日(同)に公開(日本では4月26日公開予定)されたばかりのIE9の次期バージョン。IE9の強化点を継承し、Web記述言語の標準規格「HTML5」や「CSS3」への対応をさらに進め、パフォーマンスも向上させる。プラットフォームプレビュー版は、ユーザーインタフェースなどを除いたブラウザーの核となる部分だけを提供するテスト版で、開発者向けに提供されるもの。IE9の場合も、前回の「MIX10」において最初のプラットフォームプレビュー版が発表された。

 注目すべきは、MIX11の基調講演で披露されたIE10のデモンストレーションの一部が、ARMアーキテクチャー上で動く“次期Windows”によるものだったことだ。CSS3に関するデモを披露した後、同社Windows&Windows Live担当プレジデントのスティーブン・シノフスキー氏は、「この特別なマシンについても興味深い点を指摘しておきたい。というのも、私はIE10のプラットフォームプレビュー版を、ARMマイクロプロセッサーで動作するマシンで動かしていたのだ」と告白。そのマシンのコントロールパネルを開き、プロセッサーが「ARM family 7 Model CO9 Revision100 1.00GHz」であることを明らかにした。

 Windowsの開発を統括するシノフスキー氏は2011年1月5日(同)、「2011 International CES」に合わせたプレス説明会において、次期Windowsが米インテルや米AMDのx86アーキテクチャーだけでなく、英アームのARMアーキテクチャーをサポートすることを発表している。ARMは、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器で多く使われているアーキテクチャー。これをサポートすることで、従来型のパソコン以外のモバイル機器でも、Windowsが使えるようにする計画だ。同社でも既に、スマートフォン(Windows Phone)など組み込み系のWindowsではARMをサポートしているが、パソコン向けに開発されたフルバージョンのWindowsでARMをサポートするのは、次期Windowsが初めてとなる。

 従って、IE10を披露したARMマシンには、ほかでもない次期Windowsの開発途上版が使われていたことになる。この点についてシノフスキー氏は何も触れなかったが、米エヌビディアは同日、MIX11におけるIE10のデモが、ARMを採用した同社の「Tegra 2」上で動く次期Windowsであったことを明らかにした。

 シノフスキー氏は、ARMマシンについて触れた後、こう付け加えている。「2011年9月13日~16日に米アナハイムで開催される次のマイクロソフト・デベロッパー・カンファレンス(Microsoft Developer Conference)の日程を押さえておくように。そこで話したいエキサイティングな事柄がたくさんある」――。すなわち、9月の開発者向け会議では、次期Windowsの詳細を明らかにするということだろう。

 次期Windowsについては、「2012年にリリースされる」「エクスプローラーにもOffice 2007と同じリボンインタフェースが採用される」「Mac OS XのTime Machineのようなバックアップ機能が搭載される」「WindowsStoreと呼ばれるアプリケーション配信サービスが提供される」など、さまざまな“うわさ”がインターネット上を飛び交っている。しかし同社は、「ARMをサポートする」ということ以外は何も明らかにしていない。