東日本大震災で被災し、福島第一原子力発電所事故の影響を受けて埼玉県加須市に避難している福島県双葉町に対し、日本エイサーは2011年4月11日、ノートパソコン80台を無償で提供した。そのうち、40台は町役場で利用し、残る40台は避難生活を続ける住民が利用する予定。同社はさらに、別のところで避難生活をする人たちにもパソコンを提供する用意があるとしている。
福島県双葉町は福島第一原子力発電所から20km内の避難指示地域にある。発電所の事故の影響で、住民は避難生活を余儀なくされている。3月19日に大多数の住民がさいたまスーパーアリーナにいったん避難、その後、4月1日に埼玉県加須市に移動した。加須市に避難した住民の数はおよそ1500人。ほかにも8カ所ほど、別の場所に分散して避難している住民もいるという。
加須市にある避難場所は、現在は廃校となっている埼玉県立騎西高等学校だ。校舎の中にある教室と体育館を居住場所として用いており、何家族もが同居する生活を送っている。大勢のボランティアからさまざまな協力を得ているものの、不自由な生活を強いられている。例えば、教室内では火気厳禁で、食事を作るのもままならない。
また、住民票や戸籍などを取ろうとしても、それを発行できる機能が現状の町役場にはない。町役場ごと騎西高校に移転してきたものの、4月4日の時点で実際にできる業務は被災証明書を発行することだけだという。双葉町役場の総務課でIT関連の導入・管理などの業務を担当する渡辺 勇氏は「役場で業務を行うのにパソコンは不可欠。震災以前は1人1台の環境でした」と語る。
情報の格差が生じているのも問題の一つだ。パソコンを利用できる人は、例えば求職活動に役立てられる。情報をインターネットでいち早く入手し、県営住宅などに移住できた人もいるという。しかし、多くの住民は情報を得るための手段を持たない。